2003 Fiscal Year Annual Research Report
有機溶剤曝露が幼若動物の脳内GABA神経系の発達に及ぼす影響についての実験的研究
Project/Area Number |
15590512
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
伊藤 武彦 岡山大学, 教育学部, 助教授 (10291973)
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Keywords | 有機溶剤中毒 / m-キシレン / GABA神経系 / 免疫染色法 / 曝露実験 / 幼若動物 |
Research Abstract |
本年度は、曝露実験装置の作成や予備実験などの基盤整備を行った: 1.幼若動物用の曝露実験装置の製作 離乳後すぐの幼若な動物に連続してm-キシレンを曝露出来るようにするため、新たに曝露実験装置(実験系)を製作した。すなわち、チャンバー内を発育に応じた適温に保つために、低温恒温装置(恒温域が広いもの)内に曝露チャンバーを複数個格納出来るようにした。さらに従来用いていた有機溶剤蒸気発生装置の回路を改良するとともに、空気供給源をボンベからオイルレスコンプレッサからの空気を濾過したものに変更し、より長時間連続して有機溶剤蒸気を含有する空気を安定供給できるようにした。また、曝露温度・湿度・有機溶剤濃度を連続してモニタリングするようにした。 2.免疫染色法実施のための予備実験 (1)従来はオートラジオグラフィー法に適した凍結試料を作成していたが、今回あらたに振動型マイクロスライサーを購入し、未凍結の脳切片を作成できるようにした。 (2)GABA神経系を標識するために、抗グルタミン酸脱炭酸酵素抗体とGABA_A受容体のサブユニットに特異的な抗体を準備し、GABA神経系を二通りの免疫染色法によって観察出来るようにした。なお、パーオキシダーゼ標識二次抗体による通常の光顕的観察に加えて、蛍光色素標識二次抗体による免疫染色法を実施し、共焦点顕微鏡を用いた三次元的観察も出来るように現在準備をすすめている。 (3)対比染色として、ニッスル染色の単独使用を当初考えていたが、発育・発達期の脳を観察することを考慮して、髄鞘染色を組み合わせた二重染色が出来るようにした。 3.行動科学的観察のための基盤整備 ロータロッド装置を新たに購入し、神経系の発達の程度を行動科学的に観察する基盤を整備した。 以上のように今年度整備した実験系を用いた曝露実験により、幼若動物に対するm-キシレン曝露の影響を画像化し、経時的に観察できる見通しである。
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