2004 Fiscal Year Annual Research Report
機能性新素材インジウム・スズ酸化物の発がん性に関する研究
Project/Area Number |
15590514
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田中 昭代 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (10136484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 美由紀 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (30156674)
大村 実 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (50243936)
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Keywords | インジウム・スズ酸化物 / 酸化インジウム / 発がん性 / 肺毒性 / 気管内投与 / シリアンゴールデンハムスター / 慢性毒性 |
Research Abstract |
【はじめに】インジウム使用量の80%以上がインジウム・スズ酸化物(Indium-tin oxide : ITO)としてノート型パソコン、液晶テレビやプラズマテレビのフラットディスプレイ、携帯電話用の液晶ディスプレイの透明導電膜に用いられている。本研究では、ITOとその原料である酸化インジウム(In_2O_3)をハムスターの気管内に8週間にわたって反復投与した。前年度は投与後16週までの肺病変について観察を行ったが、今年度は生体影響について投与終了後78週間後までのITOおよびIn_2O_3の肺への影響について評価した。 【実験方法】前年度以下のようにITOおよび酸化インジウムをシリアンゴールデンハムスターの気管内に週2回、計16回、8週間にわたって反復投与した。実験群は5群設定し、ITO群:2群(1回投与量3mg/kg群、6mg/kg群)、In_2O_3群:2群(In_2O_3 2.7mg/kg群、5.4mg/kg群)および対照群(滅菌蒸留水のみ1ml/kg)である。各群最終投与日の翌日(0週)、8週(ITO群のみ)、16週、40週、78週目(ITO群のみ)に肺障害の進展について検討した。 【結果および考察】観察期間中の体重変化に関し、ITO 6mg/kg群でやや低下傾向がみられたが、各ITOおよびIn_2O_3群で対照群と同様の推移を示した。肺の相対重量は、各時点の投与群で対照群と比べて有意に増加し、経時的に増加していた。肺の病理学的評価では、各ITO群およびIn_2O_3群で肺の炎症性変化を主体とする病変が観察され、病理学的変化はITOおよびIn_2O_3群では40週まで、両ITO群では78週まで持続して発現していた。さらに、肺40週以降の各ITOおよびIn_2O_3群で肺胞・細気管支の限局性増殖性病変が認められ、特にITO 6mg・kgでは肺腺腫の発生が観察された。以上の結果から、ITOおよびIn_2O_3粒子の反復経気道投与により、投与終了後も持続的に肺障害が進展することが明らかになり、さらに、ITOの投与によって肺に対し発がん性を示す可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)