2003 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー制限下の心臓が獲得する耐寒性・抗不整脈性等の生体適応と寿命延長
Project/Area Number |
15590526
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
和田 安彦 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (10261653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 泰光 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (90360271)
西池 珠子 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (40309448)
井口 弘 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90025643)
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Keywords | エネルギー制限 / 冬眠 / 心筋 / イオンチャンネル / 遺伝子発現 / 老化制御 / 低体温 / 筋原繊維 |
Research Abstract |
栄養素不足のない「エネルギー制限」(Energy restriction : ER)は、種々の動物で唯一、再現性良く老化抑制・寿命延長効果の認められる介入手法である。我々は、ER下マウスの心筋細胞の静止膜電位が低温でも深く保たれることを見いだし、何らかの積極的な適応現象が生じていると考えた。 実験に用いた7月齢のマウスの体重は、コントロール(Ct)群(n=3)43.8g、ER群(n=3)21.2g、心臓重量はそれぞれ0.15g、0.11gであった。 cDNAマイクロアレイ実験による遺伝子発現プロファイルから、以下のような結果を得た。脂肪β酸化を主なエネルギー源としている心臓は、老化とともに解糖系の依存度が高まるといわれているが、ERではこれが抑制されているものと考えられた。構造タンパクでは、細胞外マトリックス関係の遺伝子発現が増加する一方、アクチン細胞骨格の安定化に関係するタンパク質の遺伝子発現が減少していた。電気現象に関係したものでは、いくつかのイオンチャンネルやイオンポンプ関連遺伝子に変化がみられた。タンパク質品質管理関係では、機能が高まっている可能性が示唆された。細胞回転、アポトーシス関係でも、いくつかの変化が認められた。 20月齢の時点で心臓の形態学的検討を行った。平均体重はCt群(n=3)36.9g、ER群(n=3)19.9g、心臓の平均重量はCt群0.18g、ER群0.11gであった。心筋の電顕像を検討した結果、Ct群で見られた小脂肪滴はER群ではほとんど認められなかった。ミトコンドリアの形態・数、ミオフィブリルの形態のいずれも両群で大差はなかった。消耗性色素顆粒は両群とも認められなかった。 以上の結果を踏まえ、今後、分子レベルでのERマウス適応現象を明らかにし、ERの寿命延長メカニズム解明につなげていきたい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yamada, S., et al.: "Risk factors for fatal subarachnoid hemorrhage : The Japan Collaborative Cohort Study."Stroke. 34. 2781-2787 (2003)
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[Publications] 和田安彦: "分子予防環境医学(分子予防環境医学研究会編)(老化)"本の泉社. 776 (2003)