2004 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー制限下の心臓が獲得する耐寒性・抗不整脈性等の生体適応と寿命延長
Project/Area Number |
15590526
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
和田 安彦 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (10261653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 弘 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90025643)
西池 珠子 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (40309448)
西村 泰光 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (90360271)
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Keywords | エネルギー制限 / 冬眠 / 心電図 / イオンチャンネル / イオンポンプ / 老化制御 / 低体温 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
栄養素不足のない「エネルギー制限」(Energy restriction : ER)は、種々の動物で唯一、再現性良く老化抑制・寿命延長効果の認められる介入手法である。このER下マウスでは24h周期で体温が低下し(日内休眠)、これは寿命延長に不可欠である。本研究では、通常低温に対して不整脈発生などの脆弱性を有する心臓に着目し、24時間心電図の解析を行なった。 コントロール(Ct)の体温は37.4〜35.7℃、心拍数は毎分680-440回の範囲であった。これに対しERマウスの体温は大きく37.5℃〜24℃の間を変動し、心拍数は最大は給餌前後の毎分690回で、最低は早朝の体温下降時に毎分110回を記録した。しかも、心拍数と体温の関係を散布図に描いてみると、ヒステリシス曲線を描き、心拍数は体温変化に先行して上下することが判明した。また、心電図のリズムを検討した結果、体温低下時に上室性不整脈が顕著に認められたが、これは冬眠動物の冬眠導入途上の心電図に類似しており、生理的な変化と考えられた。一方、麻酔による人為的低体温(24℃)では、Ct、ERマウスとも心拍数は毎分380回程度までの低下に留まった。 心電図波形を加算平均し、ERと低体温の影響をみた。その結果、QRS持続時間やQT間隔は低体温(24℃)によって延長を見たが、わずかであり、CtとERマウスの間でも大きな差は認められなかった。ERは、心電図のリズムに大きな影響を与えるが、心電図波形を大きく変える程の影響は及ぼさないと考えられた。 以上より、ER下の心臓は自律神経系等の上位の調節により、体温変化を含む代謝調節に能動的に関わっており、何らかの生体適応変化が生じていると考えられた。 cDNAマイクロアレイを用いた心臓の遺伝子発現の解析を、新たな統計パッケージを導入し行ったところ、いくつかのイオンポンプを調整する遺伝子やイオンチャンネルに変化がみられた。
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Research Products
(4 results)