2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境汚染物質モニタリングへのアブローチ:形質転換酵母遺伝子による標的因子検索
Project/Area Number |
15590529
|
Research Institution | Shokei Gakuin University |
Principal Investigator |
山本 玲子 尚絅学院大学, 総合人間科学部, 教授 (70108504)
|
Keywords | 酵母 / 耐性遺伝子 / 感受性遺伝子 / メチル水銀 / カドミウム / 環境汚染物質 / LグルタミンDフラクトース-6-燐酸アミドトランスフェラーゼ / モニタリング |
Research Abstract |
【目的】酵母は安全でかつ扱いやすい、目的とする遺伝子を高発現させることが可能、などの特質をもち、生体における遺伝子とその機能との対応づけを最も容易かつ厳密に行える真核生物である。そのため、カドミウム(Cd)やメチル水銀(MHg)などの環境汚染物質の毒性メカニズムを解明するには、酵母を用いた細胞内因子の検索が有効である。今年度はカドミウム毒性にかかわる遺伝子検索及びこれまでの研究によるメチル水銀の細胞内作用機構を整理し、2つの環境汚染物質に共通する標的因子を明らかにする事を目的とした。【結果・考察】出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)BY4742株の遺伝子欠損株ライブラリー(Euroscarf)約4850種の中から、350μM塩化カドミウム感受性株260種を用い、20μM濃度までのカドミウムに対する低濃度感受性株および低濃度耐性株検索を行なった。この検索により、欠損により低カドミウム濃度で高い感受性を示す遺伝子を37種、欠損によりカドミウム耐性を示す遺伝子を106種同定した。細胞内での液胞への蛋白質輸送には、ゴルジ体から液胞へ直接輸送する経路であるALP経路、ゴルジ体から一度エンドソームを介して液胞へ輸送する経路であるCPY経路およびエンドサイトーシスによって取り込まれたものを液胞へ輸送する3つの経路が知られている。今回の検索では、この3つの経路のうち、CPY経路に関わる系において遺伝子(PEP12、VPS45)欠損で高感受性を、遺伝子(VAM3、VPS63、VPS68)欠損で耐性が認められた。また、エンドソーム膜上に存在し蛋白質のエンドソームから液胞への輸送に関わる遺伝子(DID4、DOA4、VPS24、VPS27、SRN2)欠損で高感受性を、遺伝子(STP22,VPS36)欠損で耐性を示した。メチル水銀では遺伝子VPS27欠損で感受性が、(VPS4、VPS28、SNF8、VPS45、VTA1、)欠損で耐性の報告がある。環境汚染物質の毒性発現にかかわりのある標的として、両物質共通の事象に関る遺伝子(欠損により高感受性となるVPS27、耐性となるVPS63、VPS68)により発現する蛋白質の機能(液胞への物質輸送)がある事を明らかにした。
|
Research Products
(2 results)