2003 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質による乗用車室内空気の汚染実態と乗員におけるその経気道吸収量の推定
Project/Area Number |
15590531
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
吉田 俊明 大阪府立公衆衛生研究所, 生活環境部・生活衛生課, 主任研究員 (00201856)
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Keywords | 乗用車 / 室内空気汚染 / 揮発性有機化合物 / 同定 / 濃度推移 / 薬物動力学 / 経気道吸収量 / 重回帰分析 |
Research Abstract |
1.空気中準揮発性有機化合物(SVOC)の分析法の確立 ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)による室内空気中SVOCの一斉分析法について検討した。2層の捕集剤(石英繊維フィルター及びEmporeC18ディスク)を充填したサンプラーを用いて空気中のSVOCを5.0L/minで24時間吸引捕集した。捕集したSVOCはアセトンで抽出し、濃縮後、内部標準法により定量した。選定した73種のSVOCのうち40種(可塑剤及び難燃剤19種、殺虫剤19種、供力剤1種、殺菌剤1種)が正確及び精密に定量可能であった。大部分のSVOCの検出限界濃度は約0.5ng/m^3であった。捕集した試料は分析までの期間1ヶ月以上冷蔵庫で保存可能であった。 2.乗用車室内における空気中有機化合物の同定とその濃度推移 一台の乗用車(新車)を対象として1999年7月の納車時より2002年10月までの3年間あまり定期的に車室内及び車外において空気中の有機化合物を捕集した。揮発性有機化合物(VOC)およびホルムアルデヒドをそれぞれ以前に確立した方法により、またSVOCを上記の方法により分析した。室内空気中より163物質が同定され脂肪族および芳香族炭化水素類の濃度が調査期間を通して高かった。定量された物質の総濃度(TVOC濃度)は納車翌日において約14mg/m^3であり、車室内空気は非常に高濃度の化学物質で汚染されていることが明らかとなった。大部分の物質の室内濃度は時間経過に伴い減少したが、室温の上昇により増加した。重回帰分析の結果、各物質の室内濃度に影響を及ぼす主要因は納車からの日数と室温であることが明らかとなった。夏季における室内TVOC濃度が厚生労働省の提案する暫定目標値(400μg/m^3)以下に減少するには約5年を要すると推定された。
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Research Products
(1 results)