2004 Fiscal Year Annual Research Report
抗酸化物質と炎症反応指標・動脈硬化指標との関連:ベースライン調査
Project/Area Number |
15590544
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences |
Principal Investigator |
中村 美詠子 国立長寿医療センター, (研究所)・疫学研究部・栄養疫学研究室長 (30236012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 実 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 果樹研究所・カンキツ研究部, 主任研究員 (10355406)
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Keywords | カロテノイド / 抗酸化物 / 血管壁硬化 / 動脈硬化 / 糖尿病 / β-カロテン / β-クリプトキサンチン / 横断研究 |
Research Abstract |
【目的】野菜・果物に含まれる抗酸化栄養素の抗動脈硬化作用が推測されている。本研究では抗酸化栄養素として血清カロテノイドをとりあげ、脈波速度との関連を中心に検討した。 【方法】三ケ日町基本健康診査受診者の中でインフォームド・コンセントが得られた者を調査対象とした。空腹時採血による血清カロテノイドの測定、脈波速度brachial-ankle pulse wave velocity(form【○!R】PWV/ABI, model BP-203RPE II)の測定、自記式問診票調査等を実施した。本研究は、浜松医科大学及び果樹研究所倫理委員会の承認を得て実施した。耐糖能は、血糖値(血漿)と糖尿病の既往歴から、糖尿病(>=126mg/dlまたは既往あり)、IFG(>=110mg/dlかつ<126mg/dl)、N(nomal)FG(<110mg/dl)の3区分に分類し、脈波速度高値は5分位値より1680cm/s以上とした。血清カロテノイド等は対数変換して分析を行った。 【結果】健康診査参加者男494人、女956人(30〜70歳)のうち、協力者は男302人、女584人(協力率男61.5%、女61.4%)であった。調査の協力者は非協力に比べやや平均年齢が高かった(協力者男56.6歳、女55.0歳、非協力者男55.8歳、女53.9歳)ものの、統計学的に有意な差ではなかった。検討項目に関する調査を完了した男性297人、女性579人について分析したところ、NFGの多変量(性、年齢、収縮期血圧、BMI、総コレステロール、中性脂肪、現在喫煙・週6日以上の飲酒・週1日以上の運動の有無、血圧・高脂血症・糖尿病治療薬服用の有無)調整脈波速度の平均値をみると、β-carotene 3分位高値(1386cm/s)では3分位低値1432cm/s)に比べ、β-cryptoxanthin高値(1382cm/s)では中位(1424cm/s)に比べ、有意に低かった。IFG+糖尿病群では統計学的に有意ではないものの同様の傾向が見られた。また、脈波速度高値の性、年齢、耐糖能区分調整オッズ比(95%信頼区間)はβ-carotene高値で0.35(0.20-0.60)、β-cryptoxanthin高値で0.45(0.27-0.77)等であり(低値を基準)、多変量調整後や、循環器疾患既往のない者に限定した分析でも同様の傾向が観察された。 【結論】血清β-carotene、β-cryptoxanthinと脈波速度の負の関連が観察された。
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