Research Abstract |
経年的に反復測定され変化していく成長期の経年的な骨発育データは,対象児童ごとに変動が大きく,従来から行われてきた同一の線形回帰によるモデル適合では十分な解析が困難であることから,マルチレベルモデル(多重レベルモデル)の応用を検討し,成長期骨発育曲線の適正なモデル化を試みた。平成15年度において収集したデータとリンク可能なコホート集団のデータを,平成16年度に追跡収集した。 骨発育と関連が不可分である成長期体格の3歳から6歳までの推移に関連する行動科学的要因を,富山スタディのデータを用いて検討した。(Pediatrics International. 2004;46(3):302-310)成長期体格(小児肥満)に関連する要因として,食習慣(米食・緑茶・卵・肉が多い,パン・ジュースが少ない),速い食事,短い睡眠時間,早い就寝,長いテレビ視聴時間,少ない運動活動,便通異常が有意であった。 骨折調査では,小1〜中3 55,464人を対象に骨折の年間発生数875件(1.6%,男児:602件2.2%,女児:273件1.0%)であった。学年とともに発生率は増加し,男児は中1〜中2で,女児は小5〜小6が発生率ピークであり,成長スパート(第2次性徴)と関係していた。成長期骨折の発生月は,5〜6月と9〜11月で多く,場所は体育館(36.1%),運動場(34.0%)が目立ち,時間帯は,体育(27.1%),部活動(26.0%),休憩時間(15.8%),昼休み(10.9%),放課後(6.0%)であった。骨折理由は,転倒(34.0%),落下(15.0%),受け損ない(13.4%),衝突(13.0%),捻転(11.2%)であった。骨折部位は,男女児とも上肢(上腕の肩関節,前腕の橈骨,手指などの骨折)が多く,下肢では腓骨,脛骨,足指が多かった。また男子では鎖骨が6%近くあった。
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