2004 Fiscal Year Annual Research Report
学校等におけるウイルス性集団発生の防止法の確立に関する研究
Project/Area Number |
15590568
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
西尾 治 国立感染症研究所, 感染症情報センター, 室長 (40270631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 嗣人 兵庫県立健康環境科学研究センター, 感染症部, 主任研究員
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Keywords | ウイルス性集団発生 / ノロウイルス / エンテロウイルス / アデノウイルス / 免疫クロマト法 / リアルタイムPCR法 / ウイルス分離 / 咽頭結膜熱 |
Research Abstract |
本年度はノロウイルスによる集団発生が社会的な問題となっているが、集団発生が起こる要因として、ふん便、吐物から大量にウイルスが排出されるのに対し、吐物は殆どウイルス学的に安全に消毒されないことが、学校、施設での流行を引き起こしていることが明らかとなり、吐物の処理について啓発が必要である。 2003年に発生した一人のエンテロウイルス71(EV71)による脳炎患者の検体から、入院当日に採取された患者の直腸拭い液、咽頭拭い液および髄液からウイルスを分離(髄液についてはRT-PCRによるゲノムの検出)して、翌日にEV71陽性の結果を病院に結果を伝えた。これらの検体についてエンテロウイルス遺伝子を定量した結果、直腸ぬぐい液>咽頭拭い液>髄液の順にコピー数が高かった。 アデノウイルスは学校等で流行することが多く、近年その迅速診断法として免疫クロマト法が臨床現場で用いられている。その検出感度を免疫クロマト法、ウイルス分離、PCR法およびリアルタイムPCR法と比較検討した。その結果、検出感度はPCR法≒リアルタイムPCR法>ウイルス分離>免疫クロマト法の順に高かった。免疫クロマト法はウイルス分離に対して95%(116/122)、PCR法に対して91%(116/128)の検出感度であった。免疫クロマト法は迅速であるが、その陰性結果は、必ずしもアデノウイルス感染症を否定しないことが示された。 2003年に兵庫県および全国において過去10年間で最大規模の咽頭結膜熱の流行が見られた。同年の1月〜6月に採取された138名の患者の咽頭検体を検査したところ、アデノウイルス3型86名、2型17名、1型11名、4名はエンテロウイルスとの重複感染事例であった。この結果から、本流行が主に3型によって引き起こされたことが示された。
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