2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト特異的塩基配列を指標としたヒトmtDNA検出法の開発とその法医学的応用
Project/Area Number |
15590581
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
湯川 修弘 宮崎大学, 医学部, 教授 (30240154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 洋和 宮崎大学, 医学部, 助手 (10363582)
柿崎 英二 宮崎大学, 医学部, 助手 (70284833)
瀬尾 泰久 宮崎大学, 医学部, 助教授 (80187830)
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Keywords | 法医学 / 物体検査 / 人獣鑑別 / DNA検査 / ミトコンドリアDNA / チトクロムb / PCR法 |
Research Abstract |
本研究はヒト特異的mtDNA塩基配列に基づいたprimerを設計し、従来から法医学分野で個人識別に用いられているmtDNA高変異領域(D-loop)の各種primerとを組み合わせたmultiplex-PCR法を行うことで、検査試料の人獣鑑別と個人識別を同時に実施しようとするものである。先ず、コンピュータデータベース上で、ヒト及び霊長類のmtDNAの全長を比較して、ヒト特異的なmtDNA配列を検索し、数種類のprimerを設計した。次いで、霊長類を含む様々な動物血液からDNAを抽出し、PCR法による目的領域の増幅を行った。その結果、NADH dehydrogeneseサブユニットのND4領域に設定したprimerにおいて、ヒトDNAのみを増幅する高い特異性を認めた。そこで、このND4 primerとD-loop領域の4組のprimer(HV1:L15997-H16236,L16159-H16401,HV2:L29-H285,L172-H408)とをそれぞれ組み合わせたmultiplex-PCR増幅の可否について検討した。その結果、ヒト試料では何れのprimerの組み合わせであっても、電気泳動上、明瞭な二本のバンドが検出され、一方動物試料では、primerの組み合わせにより、全く増幅産物を認めないか、或いはD-loop領域にヒトと同サイズの非特異的な増幅産物が検出されることを確認した。更に、ヒトの血液・毛髪・爪のDNAを試料としたmultiplex-PCR増幅産物については、D-loop領域のダイレクトシーケンス解析が可能であった。以上の結果から、本法によれば、従来行われてきた個人識別を目的としたmtDNA検査法と同様な手技で、これまで不明瞭であった試料の人獣鑑別を同時に実施することが可能であり、その法医学的有用性の高いことが示された。今後は、血痕や骨など、変性・陳旧化した試料への応用について検討を加える予定である。
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