2004 Fiscal Year Annual Research Report
虚血/再潅流に伴う骨格筋NOS産生スパーオキサイドによるショック発現機構
Project/Area Number |
15590582
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
栗崎 恵美子 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (30106356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 順子 神戸大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (40030887)
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Keywords | 緊縛性ショック / 過酸化ストレス / 遠隔臓器 / 免疫組織化学 / HPLC / 一酸化窒素代謝物濃度 |
Research Abstract |
マウスを用いた緊縛性ショックモデルにより、再灌流直後に骨格筋NOSがO2-を産生することを前年度の実験結果で明らかにした。そこで、本年度はNOSによる過剰なO2-産生と過酸化ストレスが遠隔臓器に与える影響を検討した。 [方法]C57BL/Jマウスを吸入麻酔下に一側大腿を輪ゴムで3時間緊縛し、解除した。解除後一定時間に臓器を採取し、凍結切片を作成し免疫染色を行った。また、一酸化窒素(NO)測定のためには、解除直後、15分後、1時間後に心臓より採血した。血漿を分離し、血漿中NO代謝物の亜硝酸塩(NO2-)と硝酸塩(NO3-)をHPPLCにより定量した。[結果]抗HNE(4-hydroxynonenal)抗体による免疫染色は肝では解除後30分〜1時間で、腎では緊縛解除前から解除後まで強い陽性像を示し、遠隔臓器で過酸化反応を示した。抗NT(nitrotyrosine)抗体による染色では心臓で解除後15分〜1時間で陽性像を示し、NOS活性を示すNADPH活性も心臓では解除後15〜30分で強い陽性像を示した。一方、肝・腎では緊縛によりNADPH活性が上昇し、解除後経時的に減弱した。NO代謝物に関しては対照マウスでは、NO3-はNO2-よりも10倍以上濃度が高かった。緊縛解除直後ではNO代謝物濃度(NO2-とNO3-の和)は対照マウスとほぼ同じであった。15分でNO2-とNO3-ともに2.5倍に上昇し、1時間後にNO代謝物濃度は対照マウスとほぼ同じ値へ戻った。[考察]免疫組織染色の結果により緊縛による過酸化反応による細胞膜の不安定化と緊縛解除後の心機能の変化が見られ全身状態の悪化が示唆された。NOについては、足立らは駆血帯を用いで整形外科手術患者の血中NO代謝物を測定し、解除直前にはNO代謝物濃度は対照と差がないが、解除5分後に15%の上昇が見られ、翌日元に戻ったという結果を得ている。再灌流後短時間でNOの上昇がみられることは、今回の結果と同じ傾向を示した。これらのことは、免疫組織染色の結果とも合致する。従って、今回緊縛/再灌流モデルを用いて、再灌流傷害へのNOS産生O2-やNOの初期段階での関与を明らかにすることができた。
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