2003 Fiscal Year Annual Research Report
2型糖尿病治療において心身医学的アプローチを行った場合の費用対効果性の検討―プロスペクティブ・スタディ―
Project/Area Number |
15590600
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野崎 剛弘 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (60301339)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 千春 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80117100)
|
Keywords | 2型糖尿病 / well-being / 糖尿病治療満足感(DTSQ) / 糖尿病感情負担感(PAID) / セルフコントロール / ソーシャルサポート / QOL / プロスペクティブ・スタディ |
Research Abstract |
本年度は2型糖尿病患者において、心身医学的治療の有効性を調査する前段階として、血糖コントロールに影響を及ぼす心理社会的因子について検討した。 [目的]2型糖尿病患者に対して、心理社会的因子に関する横断的調査を行い、血糖コントロールに関連する有意な因子を抽出した。 [対象と方法]外来にて通院加療中の2型糖尿病患者153名(年齢62.1±10.0歳、罹病期間12.3±8.00年、HbA1c7.36±1.16、男88名/女65)について、下記の自己記入式心理テストおよびアンケート調査を行った。1)DTSQ(糖尿病治療満足尺度)、2)PAID(糖尿病感情負担尺度)、3)Well-being Questionnaire 12、4)STAI(不安尺度)、5)SDS(抑うつ尺度)、6)SES(自尊感情尺度)、7)ソーシャルサポート尺度、8)セルフコントロール尺度、9)SF-36(健康関連QOL尺度)。また、血糖コントロールの指標として、テスト記入日までの過去6ヶ月間の平均HbA1cを用いた。 [結果]HbA1cと有意に相関した項目は、年齢、治療満足度、感情負担度、well-being、特性不安、セルフコントロール度、およびSF-36の全体的健康感、活力、心の健康であった。重回帰分析の結果、HbA1cに有意に独立して関連する因子は、well-being、年齢、治療満足度の順に強かった。年齢を65歳未満(84名)と65歳以上(69名)に分けて重回帰分析を行うと、前者ではwell-beingが、後者では治療満足度が最も有意に独立して関連する因子であった。即ち、65歳未満ではwell-beingが高いほど、65歳以上では治療満足度が高いほど血糖コントロールのコントロールがよかった。 [結論]2型糖尿病患者の血糖コントロールには、well-being、治療満足感といった心理的因子が関与することが示唆された。 今後は、さらに150名程度の患者を加えて横断調査を続け、1年間フォローアップし、血糖コントロールと心理社会的因子の関連を縦断的に検討する。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Takii M, et al.: "An increased inpatient therapy for type I diabetic females with bulimia nervosa : A three-year follow-up study"J Psychosom Res. 55. 349-356 (2003)
-
[Publications] Hayashi H, et al.: "Comparison of the esophageal manometric characteristics of idiopathic and reflux-associated esophageal spasm : evaluation by 24-hour ambulatory esophageal motility and pH monitoring"Dig Dis Sci. 48. 2124-2131 (2003)
-
[Publications] Hirayama K, et al.: "Endogenous glucocorticoids inhibit scratching behavior induced by the administration of compound 48/80 in mice"Eur J Pharmacol. 481. 59-65 (2003)
-
[Publications] 澤本良子, 他: "万引きまたは盗食歴を有する神経性食欲不振症患者の心理特性-入院患者での検討-"心身医学. 43. 765-773 (2003)
-
[Publications] 河合宏美, 他: "当科で入院治療を行った男性神経性食欲不振症患者の臨床的特徴と転帰について"心身医学. 44. 25-32 (2004)
-
[Publications] 野崎剛弘, 他: "外来治療のみで発症以前の体重まで回復できた神経性食欲不振症患者の臨床的心理的特徴"心身医学. 44. 121-131 (2004)
-
[Publications] 野崎剛弘(久保千春編): "心身医療実践マニュアル"文光堂. 388 (2003)