2004 Fiscal Year Annual Research Report
担癌状態における活性化T細胞移入による生体でのQOL及び免疫学的動態解析
Project/Area Number |
15590606
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
有賀 悦子 国立国際医療センター研究所, 消化器疾患研究部, 研究員 (20343551)
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Keywords | FACT-BRM / QOL / 活性化T細胞 / 癌免疫療法 / 緩和医療 / サイトカイン |
Research Abstract |
免疫状態が低下した担癌患者に活性化自己T細胞を移入することによるQOLの改善を標準スケールを用いて解析するために、QOL評価の国際的スケールであるFACTの中で特に生物学的治療におけるスケールであるFACT-BRMを本邦で使用するための日本語版翻訳作業を行った。平成15年度に作成したFACT-BRM日本語版原案を用いて、癌患者15名を対象としたアンケート調査のパイロット試験を実施し、その結果解析において、日本語版原案の妥当性と適切性に問題ないとの評価となり、FACT-BRM日本語版が完成した。 担癌患者における免疫能の評価では、健常人ボランティアと比較して、進行癌患者において、末梢血リンパ球数、リンパ球比率、NK細胞数、NK細胞比率が有意に減少しており、進行癌患者における免疫能の低下を示すものと考えられた。しかし、リンパ球数と比率は、末期状態ではむしろ異常高値となる症例も認められ、易感染性との関係も重要と考えられた。NK細胞の腫瘍細胞傷害活性、Type1サイトカイン産生能も進行癌患者で低下が認められ、抗腫瘍免疫の低下も認められた。担癌患者に対して、自己T細胞を固相化抗CD3抗体とIL-2にて活性化培養した後に、末梢静脈より点滴にて全身投与を行い、その前後にて患者末梢血の免疫細胞動態を比較解析した結果、末梢血中リンパ球比率、実数ともに活性化T細胞の投与後に増加することが確認された。活性化T細胞投与により、全身状態の改善が自覚的に認められており、現在、FACT-BRMアンケート調査表を用いて、活性化T細胞投与によるQOLの改善を各項目ごとに比較解析中である。
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