2005 Fiscal Year Annual Research Report
機能性ディスペプシア病態生理の解明と総合的評価法および治療法の確立
Project/Area Number |
15590608
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
金子 宏 愛知医科大学, 看護学部, 教授 (60214467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小長谷 敏浩 愛知医科大学, 医学部, 講師 (60298594)
山口 力 愛知医科大学, 医学部, 助手 (70288538)
今村 祐志 愛知医科大学, 医学部, 助手 (90329780)
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Keywords | バロスタット / 知覚閾値 / 胃適応性弛緩 / 飲水試験 / 直腸拡張刺激 / 精神的ストレス / 脳血流量 / 治療アルゴリズム |
Research Abstract |
1.バロスタットを用いた胃知覚閾値・胃受容性弛緩測定法の確立と簡便測定法の開発 (1)健常男性ボランティア9名にポリエチレン製バルーンを経口的に挿入し、胃底部に固定した。バロスタットで調整された任意の圧における感覚閾値(違和感、痛み、限界)をvisual analog scaleで評価した。また、一定の圧で胃底部のバルーンを拡張させた条件で液体栄養食を飲用させ、胃底部の弛緩を観察した。その結果、感覚閾値、適応性弛緩を測定することができた。 (2)液体栄養食を一定の速度で飲用し、感覚閾値と飲用量を同じ被検者で測定した(飲水試験)。標準法であるバロスタット法での指標と比較して、両方法による違和感閾値、バロスタット法による弛緩容量と最大飲用量にそれぞれ相関がみられ、簡便法である飲水試験によって、胃知覚閾値、受容性弛緩を推測できることが示唆された。この結果は第36回日本消化吸収学会総会(2005.10)で発表した。さらに症例を追加中である。 2.直腸拡張刺激時の機能性消化管障害患者における脳血流の測定とストレスの影響の検討 下痢型過敏性腸症候群(IBS)7例と健常ボランティア(5例)(男性、右利き)を対象に直腸拡張刺激、暗算刺激(精神的ストレス)を負荷した時の脳血流の変化をPETで検討した。2種類の刺激はランダムに組合せた。その結果、IBSと健常人では刺激による痛み反応、血流が増加する脳部位に差がみられ、既報の結果の一部を確認できた。平成18年の国際学会で発表予定である。それぞれ症例数を8例まで増やしその結果を論文にする予定である。 3.難治性機能性胃腸障害症例での心身医学的診断・治療の確立 難治性の機能性ディスペプシア(FD)患者213名の心身医学的診断(心理面接、心理査定)と経過観察から、約半数は身体表現性障害(心身症を含む)で、不安・気分障害が併せて4割であり、前者では薬物による治療の効果が低率であった。EBMも加味して難治性FDの治療アルゴリズムを発表した。今後、有用性を検証する。 4.ラットにおける胃拡張刺激による痛み行動、痛み測定を確立し、上市されている消化管運動賦活薬が胃排出促進作用を示す濃度で痛みを抑制することが証明され、2005米国消化器病学会等で発表した。
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Research Products
(17 results)