2004 Fiscal Year Annual Research Report
IGF-I受容体を分子標的とした安全で有効な多剤併用癌化学予防法の開発
Project/Area Number |
15590644
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻井 正彦 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40303937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川野 淳 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60133138)
辻 晋吾 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (40301262)
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Keywords | cyclooxygenase-2 / アンギオテンシン / 化学予防 / IGF-I受容体 / PI3 / Akt |
Research Abstract |
生活習慣病の予防に取り組んでいるアメリカやイギリスでは、癌の死亡率の減少傾向がみられ、癌予防の有効性が注目されている。薬剤などを用いた化学予防では、大腸癌のハイリスクグループである家族性大腸腺腫症患者に対するCyclooxygenase-2(COX-2)特異的阻害剤が臨床応用されている。一方、近年Insulin-like Growth Factor(IGF)/IGF受容体の系が種々の腫瘍の増殖・進展に重要な役割を果たしていることが報告されている。 本検討では、種々の化学予防薬のIGF/IGF-IR系に及ぼす影響を明らかにし、その抗腫瘍機構の解明を試みた。 COX-2産物のprostaglandin E2(PGE2)がP13/Akt系を介しIGF-I受容体発現を誘導すること、COX-2阻害剤がIGF-I受容体発現・細胞増殖を抑制すること、大腸癌細胞を用いたマウスの皮下移植モデルで、高用量のCOX-2阻害剤は腫瘍増殖抑制効果をもたらすが、PGE2合成を抑制する必要十分な低用量では腫瘍増殖抑制効果がみられないことが明らかとなった。より有効な治療法を考案する目的で、種々の化学予防薬のIGF-I受容体発現に及ぼす影響を検討した。間質細胞から分泌されるアンギオテンシンがPI3/Akt系を活性化することによりIGF-I受容体発現を誘導し、COX-2阻害剤のIGF-I受容体発現阻害効果を減弱すること、アンギオテンシン系阻害剤を併用することにより、低用量COX-2阻害剤もマウス皮下腫瘍の増殖を抑制することが明らかとなった。奇しくも昨年、COX-2阻害剤の心血管系における副作用から化学予防目的の臨床応用が中止されている。本検討によりその有効性が明らかとなったCOX-2阻害剤・アンギオテンシン系阻害剤併用療法は、抗腫瘍効果の増強・副作用の軽減の両面から臨床効果が期待される。
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Research Products
(6 results)