2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクターピロリ感染胃粘膜及び胃癌におけるMusashi-1発現意義の検討
Project/Area Number |
15590646
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川野 淳 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60133138)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 晋吾 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (40301262)
辻井 正彦 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40303937)
|
Keywords | ヘリコバクターピロリ / Musashi-1 / 胃癌 |
Research Abstract |
昨年度は、ヒト胃において、H.pylori感染により神経系RNA結合タンパクであるMusashi-1(MSI-1)が誘導され、その誘導には、H.pyloriの有するCagAが強く関与することを証明、報告した。また、一部の胃癌組織において、MSI-1が強発現していることを明らかにした。そこで、本年度は、MSI-1の胃癌における発現意義をこの胃癌細胞にMSI-1を強制発現させることによる発現遺伝子、および表現型の変化につき、検討をおこなった。 MSI-1発現の認められないAGS胃癌細胞に、リポフェクション法により遺伝子導入をおこない、Msi-1を恒常的に発現する細胞AGS-Msi-1を確立した。AGS-Msi-1細胞では、野生型、Mock AGS細胞に比較して、BCL-2タンパクをはじめとした抗アポトーシス分子の発現が強く誘導されているのを、RT-PCR、Western blottingにより確認した。また、軟寒天培地上で長期間培養すると、AGS-Msi-1細胞ではより大きなサイズのコロニーを形成し、またそのコロニー数も有意に多かった。また、血清非添加状態においてアポトーシスを誘導すると、AGS-Msi-1細胞は有意に多くの細胞が生存した。以上より、MSI-1発現により、主に抗アポトーシス作用を介して、癌の進展に寄与する可能性が明らかとなった。また、NF-κB活性化経路がこのAGS-Msi-1細胞において一部変化しており、これらの表現型、遺伝子誘導に関与することが明らかとなった。
|
Research Products
(6 results)