2005 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌分子診断と化学療法剤感受性の検討-テーラーメイド治療の確立を目指して-
Project/Area Number |
15590648
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
河本 博文 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (60359883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白羽 英則 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (40379748)
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Keywords | 膵臓癌 / 遺伝子異常 / 細胞増殖 / 癌転移 |
Research Abstract |
本年度も昨年度に引き続き、膵癌の遺伝子異常と悪性度についての検討を行った、k-rasの変異は、細胞増殖能を亢進させることにより悪性度を上げ、またRUNX3の変異もしくは欠失は、アポトーシスを抑制した。培養細胞を用いた検討でも、RUNX3の細胞内遺伝子導入では、GFP融合蛋白を用いた検討でもRUNX3の核への集積を認め、アポドーシスが30%程度亢進した。RNA干渉の技術を用いたRUNX3のノックダウン細胞では、細胞増殖が亢進することが確認された。 臨床検体を用いた、膵悪性腫瘍の遺伝子変異についての検討を行い、その検討の中で悪性化の過程の中でk-rasの変異が起こり、その中でk-ras変異が悪性度の亢進に伴って、polyclonalな増殖からmonoclonalな増殖に変化していくことを見出した。更に膵癌治療における臨床検討では、ジェムシタビン単剤療法と、ジェムシタビン+シスプラチン併用療法の比較を行った。k-rasの変異について併用療法による生存期間の差を検討したが、k-rasの変異の有無によるシスプラチン併用による予後の変化は認められなかった。 以上の検討で、結論として得られたことは、(1)膵癌におけるk-ras, RUNX3などの遺伝子変異は癌の悪性度を亢進させることが判明した。(2)しかしながら、k-rasについては遺伝子異常と抗癌剤の効果については差が認められなかった。
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