2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590652
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
檜垣 真吾 山口大学, 医学部, 講師 (10335739)
|
Keywords | EBウイルス / 胃癌 / 粘液形質 / 残胃癌 / サイトカイン / H.pylori / 背景胃粘膜 / 萎縮 |
Research Abstract |
研究者は、EBウィルスは慢性萎縮性胃炎の経過において胃底腺領域の萎縮が中等度に進展した段階で萎縮境界近傍で胃上皮細胞の不死化に関与するものと、推定している。しかし、従来いくつかの検出法では各々感度や特異性などに限界があり、胃癌発生母地である慢性萎縮性胃粘膜におけるEBウイルス感染の定量や胃内分布の詳細な検討は困難である。本研究において、研究者らは、EBウィルスが慢性胃炎の進展経過においてどの段階で胃内のどの部位にどのような量(コピー数)と感染状態で出現するのかを検索し、胃癌の発生へ至る寄与について研究した。 まず、EBウイルス胃癌の発生母地を調べる目的で、腫瘍の粘液形質について、胃型・腸型の粘液に対する免疫染色を行った。山口大学で経験、治療された胃癌120症例についてEBウイルスの検出と、粘液形質(human gastric mucin, muc2, CD10)の免疫染色とPAS alcian blue染色をおこなった。手術の必要な進行したEBウイルス関連胃癌の粘液形質は胃型であった。 EBウイルスは残胃癌の30%に検出されるため、EBウイルス陽性の残胃癌について、その背景胃粘膜を検討した。EBウイルス陽性残胃癌は、Billroth-2法で再建された断端吻合部に多く、陥凹を主体とした進行癌であった。背景胃粘膜は腸上皮化生を認めるものが多かったが、gastric cystica polyposa (CCP)の合併は低頻度であった。 H.pyloriと胃癌の関連が注目されているので、EBウイルスとH.pyloriとの間のクロストークについてEBV感染培養細胞を用いてサイトカイン産生について検討した。EBV感染培養細胞は、H.pyloriの刺激によりIL-8産生能の亢進が認められた。
|