2003 Fiscal Year Annual Research Report
過酸化脂質継続摂取が腸管粘膜の発癌性に与える影響:抗酸化物の発癌抑制効果を中心に
Project/Area Number |
15590659
|
Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
綱田 誠司 佐賀大学, 医学部, 助手 (70264158)
|
Keywords | 過酸化脂質 / オルニチン脱炭酸酵素活性 / アポトーシス / グルタチオン |
Research Abstract |
過酸化脂質がフリーラジカルとして生体に障害を惹き起こすことが様々な実験モデルで明らかにされつつあるが経口的に摂取された過酸化脂質が消化管に及ぼす影響に触れた実験系は少ない.我々はω6の過酸化物として4%の魚脂を24時間放置した飼料を継続的に与え腸管粘膜の過酸化が腸管粘膜のアポトーシスと腸管粘膜の増殖に与える影響を検討し粘膜の過酸化により小腸粘膜のアポトーシスが抑制され小腸粘膜の増殖の指標であるオルニチン脱炭酸酵素活性(ODC活性)が抑制されることを明らかにしてきた.さまざまな細胞の酸化によるストレス状態においてグルタチオンは保護的な役割を果たすが消化管における過酸化脂質の解毒においてもグルタチオンにおける還元系が重要な働きになっているものと考えられている.今回の実験ではグルタチオンを飲水に添加することにより過酸化脂質継続投与により傷害された小腸粘膜のアポトーシス,細胞増殖が回復しうるかを検討した.過酸化脂質継続摂取群のラットの飲水に還元型グルタチオンを1%添加した.通常飼料摂取群をコントロール群とし,過酸化脂質摂取群,過酸化脂質摂取およびグルタチオン摂取群でアポトーシスの発現,ODC活性を比較検討した.過酸化脂質摂取群にて有意に抑制された小腸粘膜におけるアポトーシスおよび粘膜増殖はグルタチオン摂取による粘膜過酸化の正常化によりコントロール群レベルに回復した.今回の研究結果から腸管粘膜の還元系が腸管粘膜の細胞増殖に重要な働きを担っていることが明らかになった.今後は腸管粘膜の過酸化と発癌との関係を明らかにする為に,mitogenおよびCarcinogenを投与し,過酸化された腸管粘膜の細胞増殖に与える影響について検討する予定である.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Tsunada S, et al.: "Redox imbalance in the colonic mucosa of ulcerative colitis. Scand."Scand J Gastroenterol. 38. 1002-1003 (2003)
-
[Publications] Tsunada S, et al.: "Endoscopic closure of perforations caused by EMR in the stomach by application of metallic clips."Gastrointest.Endoscopy. 57(7). 948-952 (2003)
-
[Publications] Tsunada S, et al.: "Chronic exposure to sublethal levels of lipid h ydroperoxides suppresses mucosal cell turnover in rat small intestine and reversal by glutathione."Dig.Dis.Sci. 48(1). 210-222 (2003)
-
[Publications] 綱田誠司, 他: "消化と吸収"Annual Review 消化器. 133-137 (2003)