2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590686
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 秀和 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70255454)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寒川 賢治 国立循環器病センター研究所, 京都大学附属病院・探索医療センター, 部長・教授(併任) (00112417)
|
Keywords | Helicobacter pylori / グレリン / スナネズミ / 慢性胃炎 / 胃粘膜萎縮 / ペプシノーゲン / ミエロペルオキシダーゼ / 体重 |
Research Abstract |
H.pylori感染スナネズミでの検討:スナネズミ(5週)にH.pyloriを投与し17週、23週後にグレリン動態を検討した。別系で、感染12週、感染24週にlansoprazole, amoxicillin, clarithromycinの3剤による2日間の除菌を施行し10週後に解剖した群も検討した。血漿中及び胃内グレリンのペプチド量解析はRIAで、腺胃のプレプログレリンmRNA発現はReal-time RT-PCR系で定量した。また、胃粘膜内グレリン産生細胞の分布を免疫組織化学で評価し、グレリン陽性細胞と炎症細胞、壁細胞との相関を検討した。胃内プレプログレリンのmRNA発現は、感染群で有意に低下したが、感染12週、感染24週で除菌した群では、非感染群のレベルまで上昇していた。血中及び胃内グレリン量解析は、活性を担うN末端抗体および総量を示すC末端抗体でのradioimmunoassay(RIA)にて行い、抗グレリン抗体を用いた免疫組織化学により胃粘膜内グレリン産生細胞の分布を評価した。非感染群でグレリン陽性細胞は胃底腺の壁細胞の近傍に分布した。血漿総グレリン値は、感染17週、22週、34週で有意に増加したが、これは、感染の胃底腺への影響が少ない感染初期段階での反応と考えられた。血漿グレリン値は12週除菌群では有意に低下したが、24週除菌群では低下するも有意ではなかった。以上より、H.pylori初期感染モデルでは、胃内グレリン値は低下するも血漿グレリン値は上昇することがわかった。 H.pylori感染陽性あるいは除菌後慢性胃炎での検討:上部消化管内視鏡検査を施行する慢性胃炎患者での空腹時血漿グレリン値と血清ペプシノーゲン(PG)I値、PGII値、BMIを検討した。また、内視鏡的萎縮の広がりを木村・竹本分類を基盤にしてopen-type、closed-typeとして診断した。血漿総グレリン及び血漿活性型グレリン値は、血清PGI値及びPGI/II比と有意な正の相関を示した。また、BMIを均一化した群の比較から、萎縮の進んだopen-type萎縮群では、closed type萎縮群に比し、血漿グレリン値が有意に低値を示した。また、PG値が低く萎縮の進んだ低PG群では、萎縮の少ない高PG群に比し血漿グレリン値は低値であった(Hepatogastroenterol.51:1249-1254,2004)。以上より、血漿グレリン値は萎縮性胃炎あるいは胃癌危険群のマーカーとなりうることが示唆された(特開2004-163397)。
|
Research Products
(25 results)