2004 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール性肝障害の肝類洞リモデリングにおけるスフィンゴシン-1リン酸の役割
Project/Area Number |
15590689
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Research Institution | JUNTENDO UNWARILY |
Principal Investigator |
北村 庸雄 順天堂大学, 医学部, 助教授 (20231285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 信行 順天堂大学, 医学部, 助手 (20348973)
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Keywords | アルコール性肝障害 / スフィンゴシン1-リン酸 / 肝類洞内皮細胞 / Nitric Oxide / eNOS / 細胞内カルシウム |
Research Abstract |
これまでアルコール性肝障害に関する研究は肝実質細胞を中心に行なわれてきており、肝類洞再形成不全の視点に立った肝類洞内皮細胞の細胞生物学的解析は十分なされていないのが現状である。本研究では、エタノールにより誘導される初代培養肝類洞内皮細胞のアポトーシスをsphingosine1-phosphate(S1P)が抑制し、この過程でS1Pが細胞外シグナルとして機能している可能性を示した。即ち、細胞をS1Pで刺激すると、細胞外カルシウムの存在・非存在下のいずれにおいても細胞内カルシウムイオン濃度の上昇が認められ、又、S1P刺激により細胞内Nitric Oxide(NO)産生の亢進が認められた。さらにWestern blottingによる解析では、S1Pを細胞に添加することによりAkt活性の増強はみられなかったが、eNOSの活性は有意な増強が認められた。細胞外S1PはそのリセプターであるEDG1を介しAktを活性化することが報告されている。AktはeNOSを活性化し得ることより、S1PによるNO産生の亢進はこの経路により生じたものである可能性も考えられる。しかし、今回の結果ではS1PによるAktの活性化は認められず、細胞内カルシウムの増加がカルシウム感受性であるeNOSの活性化を惹起し、その結果NO産生の亢進が認められたものと考えられた。これらの結果より、S1Pがエタノールによる肝類洞内皮細胞アポトーシスを抑制する機序として、S1Pが細胞内カルシウム上昇を介しeNOSの活性化を誘導し、その結果産生されるNOの抗アポトーシス作用が関与している可能性が示唆された。以上の結果は、米国肝臓病学会、日本肝臓学会総会、日本微小循環学会などで発表した。
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Research Products
(4 results)