2005 Fiscal Year Annual Research Report
エンドスタチンcDNAによる骨髄細胞を標的とした肝細胞癌に対する遺伝子治療の試み
Project/Area Number |
15590700
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
鳥村 拓司 久留米大学, 医学部, 助教授 (60197986)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 隆登 久留米大学, 先端癌治療研究センター, 教授 (70176618)
岡村 孝 久留米大学, 医学部, 教授 (30136436)
谷口 英太郎 久留米大学, 医学部, 助手 (50341318)
|
Keywords | 肝細胞癌 / 血管新生抑制 / 遺伝子治療 / 骨髄移植 / 血管内皮前駆細胞 / レトロウイルス / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
平成17年度は平成16年度で経過観察中であったB6C3F1^Tg(act-EGFP)Osb-FM038マウスの骨髄細胞を放射線を照射したスキッドマウスに骨髄移植し3ヶ月後の骨髄への生着率をフローサイトメーターにて観察した。その結果、移植したGFP陽性の骨髄細胞はドナーの骨髄の50%から82%を占めていた。移植した骨髄細胞の生着率はドナーマウスをヌードマウスに変えてもほぼ同様であった。 つぎに、B6C3F1^Tg(act-EGFP)Osb-FM038マウスの骨髄細胞を移植したスキッドマウスの肝臓にヒト肝癌細胞株であるKYN-2を200万個接種したが肝に腫瘤の形成は見られなかった。このため、同様の方法でヌードマウスにB6C3F1^Tg(act-EGFP)Osb-FM038マウスの骨髄細胞を移植し、その後肝臓にKYN-2を200万個接種した。肝癌細胞を接種した3匹ののうち4週後に2匹のマウスに腫瘍が形成されており、腫瘍の大きさは通常のヌードマウスの肝臓にKYN-2を200万個接種したできたものと大差なかった。病理組織学的検討において、腫瘍組織の中の血管形成に移植したB6C3F1^Tg(act-EGFP)Osb-FM038マウスの骨髄細胞の関与する割合は約10%位であった。 つぎに、平成16年度に作成した血管新生抑制物質であるヒトKringle 1-5 cDNAを組み込んだレトロウイルス(GALV virus)をB6C3F1^Tg(act-EGFP)Osb-FM038マウスの骨髄細胞にex vivoで感染させ、その後放射線を照射したヌードマウスに骨髄移植した。骨髄が生着する6週後にKYN-2を200万個肝臓に接種しさらに、4週後に屠殺して肝に形成された腫瘤を観察した。その結果、腫瘍組織内の血管の約10%はGFP陽性であり移植した骨髄細胞由来と考えられた。また、His-tagに対する免疫染色にて血管を形成する骨髄由来の細胞の20%程にKringle 1-5の発現を認めた。しかし、腫瘍内の血管密度は対照群の腫瘍と有意差が無く、さらに、腫瘍の容積も対照群と骨髄移植群とで差は認められなかった。これは、骨髄細胞へのヒトKringle 1-5 cDNAを組み込んだレトロウイルスの感染効率が低いため充分量のKringle 1-5蛋白が産生できなかったことが原因と考えられた。
|
Research Products
(1 results)