2003 Fiscal Year Annual Research Report
変異型エンドセリン受容体、エンドセリンアンチセンスによる慢性膵炎遺伝子治療の試み
Project/Area Number |
15590702
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
木原 康之 産業医科大学, 医学部, 助手 (80279330)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 眞 産業医科大学, 医学部, 教授 (00030916)
中村 早人 産業医科大学, 医学部, 助教授 (90207902)
田代 充生 産業医科大学, 医学部, 助手 (20341498)
|
Keywords | 慢性膵炎 / エンドセリン / 繊維化 |
Research Abstract |
エンドセリンは強力な血管収縮作用を有するホルモンであり、ラット急性膵炎においても膵の微少循環を障害し、血管透過性を亢進することで、急性膵炎を増悪させることが報告されている。一方、び漫性硬化症、特発性肺線維症、肝硬変患者の血中エンドセリン濃度は高値を呈することが報告されている。さらに、エンドセリン-1トランスジェニックマウスの腎糸球体に著明な線維化が認められたことから、エンドセリンは膵線維化を促進する可能性が考えられる。本研究では膵線維化におけるエンドセリンの役割を明らかにするために、慢性膵炎患者の血漿エンドセリン1濃度を測定した。対象は慢性膵炎患者11例、急性膵炎患者4例、自己免疫性膵炎患者3例で、全例男性であった。血漿エンドセリン1濃度は慢性膵炎患者が2.40±0.56pg/ml、急性膵炎患者が2.08±0.47pg/ml、自己免疫性膵炎患者が1.91±0.67pg/mlであった。慢性膵炎患者の血漿エンドセリン1値は他の膵疾患に比し高値となる傾向にあったが有意差はみられなかった。慢性膵炎患者の血漿エンドセリン1値は膵石、糖尿病、消化吸収障害の合併の有無により差がみられなかったが、インスリンを使用している慢性膵炎患者の血漿エンドセリン1値は非使用例に比し、高値となる傾向にあった。腫瘤形成性膵炎患者の血漿エンドセリン1値は腫瘤非形成性患者に比し高値となる傾向にあった。慢性膵炎の非代償期では血漿エンドセリン1値が高値になる傾向が示されたことから、血漿エンドセリン1は慢性膵炎の進展を表すマーカーとなる可能性が示唆された。さらに、腫瘤形成膵炎で高値を示したことから、腫瘤形成性膵炎の診断に有用なマーカーとたる可能性が考えられた。
|