2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590703
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
田代 充生 産業医科大学, 医学部, 助手 (20341498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 眞 産業医科大学, 医学部, 教授 (00030916)
田口 雅史 産業医科大学, 医学部, 助手 (80369058)
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Keywords | アルコール性膵障害 / 恒久的胃瘻モデルラット / 膵腺房細胞 |
Research Abstract |
エタノールの慢性摂取によって惹起されるアルコール性膵障害における膵腺房細胞の外分泌に関与する蛋白の役割を明らかにする目的で、まずTsukamotoらの方法に準じ、ラットに恒久的胃瘻を作製し、これにアルコール投与を行った。 従来の恒久的胃瘻によるアルコール慢性投与ラットでは、緩徐にアルコール投与量を増やして行く方法であるが、膵において腺房細胞の壊死や線維化を起こすラットは約3割と少ないことから、膵障害の病態解明には、より安定化したアルコール性膵障害モデルが必要である。最近、恒久的胃瘻を使って8週の間にアルコール濃度を17-18g/kg/日と高濃度まで投与した雌性ラット膵に線維化が起こると報告された(Kono et al. Am J Physiol 280:G1178-G1186:2001)。我々は恒久的胃瘻を作製した雄性Wistarラット(体重約250g)に12週の間にアルコール濃度を18g/kg/日まで投与した。 アルコール投与中に約4割(16/43)のラットが死亡した。12週間投与を行ったラットを脱血死させ、膵の組織学的検討(光顕)を行ったところ、全てのラット膵において、炎症細胞浸潤や浮腫などの膵炎の変化はなく、腺房細胞の形態はよく保たれていたが、コントロール群にはわずかしか認められない腺房細胞への脂肪沈着の増加が認められた。前述の短期間高濃度アルコール投与ラット膵において認められた小葉間の膠原線維の増加は、我々のモデルではごくわずかしか認められなかった。 我々は恒久的胃瘻を作製した雄性Wistarラット(体重約250g)に比較的高濃度である18g/kg/日までのアルコールを12週間投与することが可能であった。膵の光顕像では膵炎像は認めず、腺房細胞の形態はよく保たれていたことから、腺房細胞内の外分泌に関与する蛋白の検討を行う必要がある。
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