2004 Fiscal Year Annual Research Report
心筋におけるミオシン軽鎖リン酸化酵素とミオシン軽鎖リン酸化の機能的意義の検討
Project/Area Number |
15590721
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 尋史 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50323572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 清了 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (10272551)
佐田 政隆 東京大学, 医学部附属病院, 寄附講座教員 (80345214)
加藤 昌義 東京大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | 心筋ミオシン / ミオシン軽鎖リン酸化 / ミオシン軽鎖リン酸化酵素 / レーザートラップ / in vitro motility assay / アクチン活性化ATPase活性 / テロキン / subfragment-2 |
Research Abstract |
心筋におけるミオシン軽鎖リン酸化酵素(MLCK)の機能的意義は未だ明らかではない。心筋細胞除膜標本を用いた研究では、軽鎖のリン酸化により収縮力のカルシウム感受性が増強することが証明されている。一方、平滑筋においてMLCKが直接ミオシン分子に結合して、ATP水解活性を増強することが最近報告され注目されている。MLCK分子は、中央部にリン酸化酵素部位、アミノ末端側にアクチン結合部位、カルボキシル末端側にミオシン結合部位を持つ多機能タンパクである。本研究の目的は、心筋においてミオシン分子機能に対するMLCKの軽鎖リン酸化を介さない作用を解析することである。 ウシ胃平滑筋MLCKのcDNAを用いて、リン酸化酵素活性部位を含まずミオシン結合部位のみをふくむカルボキシル末端側断片(MF)を、大腸菌に発現・精製した。ラット心筋より精製したミオシンの分子機能を、アクチン活性化ATPase活性と、in vitro motility assayにおける蛍光アクチンフィラメントの滑り速度で定量化し、MFの効果を検討した。5μmol/LのMF存在下では、アクチン活性化ATPase活性には差がなかったが、滑り速度は22%増加した(4.6±0.4v.s.5.6±0.5μm/sec, p<0.01)。しかも、ミオシン軽鎖リン酸化のレベルに変化はなかった。この結果は、心筋ミオシンにおいてもMLCKは軽鎖リン酸化を介さないメカニズムで、分子モーター機能を修飾することを示す。 今回発現させたMLCK断片は、平滑筋細胞ではテロキンというタンパクとして発現しており、ミオシン分子の頭部・尾部接合部(subfragment-2)に結合して分子のコンフォメーションを変化させることが示唆されている。心筋においてもMLCKはミオシン分子に直接作用して、収縮機能を調節している可能性が示唆される。
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Research Products
(1 results)