2003 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺ホルモンシグナリングを用いた心不全治療の試み―胎児型遺伝子発現の転換
Project/Area Number |
15590723
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
絹川 弘一郎 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00345216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 利之 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (40236302)
八尾 厚史 東京大学, 医学部附属病院, 助手
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Keywords | 心不全 / 遺伝子発現 / 甲状腺ホルモン |
Research Abstract |
まず、培養心筋細胞におけるアデノウイルスを用いたTRβ_1の過剰発現系において検討した。心筋細胞の肥大は抑制的であり、p38 MAPKのリン酸化は抑制されていた。このp38のリン酸化抑制はTRβ_1とp38αの相互作用によることも観察された。しかし、TRβ_1の過剰発現はT_3に特徴的な成体型遺伝子発現すなわちαMHCやSERCAの増加、βMHCの減少を伴い、以前に生理的肥大で認められたTRβ_1の発現増加とよくマッチする所見である。また興味深いことにTRβ_1自体の遺伝子発現はTRβ_1によってコントロールされているようであり、TRβ_1の過剰発現により、内在性のTRβ_1の発現も誘導された。さらに、TRβに特異的なagonistであるGC-1の作用を培養心筋細胞において検討した。GC-1はT_3に比べて肥大の誘導は弱かったが、しかしほぼ同程度に成体型遺伝子発現すなわちαMHCやSERCAの増加、βMHCの減少を誘導した。GC-1については共同研究者のJohn Baxterの研究室から最近、成体においてT_3と比べて頻脈の誘導が弱いが、肝臓においてはcholestero1 7alpha-hydroxylaseがTRβ_1特異的に調節されており脂質代謝にはT_3と同程度の作用があることが報告されている。この事実は心不全治療において頻脈の発生を比較的少なくして成体型遺伝子発現を誘導できる可能性をTRβ特異的agonistが有するものと考えられる。
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Research Products
(1 results)