2003 Fiscal Year Annual Research Report
FRET法による血管内皮細胞Ca2+流入機構の解明
Project/Area Number |
15590724
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
一色 政志 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (70302734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 希美子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00323618)
飯利 太朗 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90313022)
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Keywords | 血管内皮細胞 / カルシウムシグナル / FRET / カベオラ |
Research Abstract |
細胞膜直下には多くのCa^<2+>依存性情報伝達分子、Ca^<2+>調節蛋白、膜融合・分泌などのイベントが関連している。従って、膜直下Ca^<2+>の時・空間的調節は細胞機能の多様性を発揮するために必須であり、まず内皮胞膜直下Ca^<2+>動態を視覚化し、その上昇パターン形成機構の解析と、PKCβおよびPLA_2の膜移行及びNO産生との関連を検討した。Ca^<2+>センサー蛋白カメレオンを培養内皮細胞膜直下にターゲットさせ、Ca^<2+>変化に応じて生じるカメレオン分子内FRETを共焦点顕微鏡によりイメージングした。細胞内IP_3産生はPLCδのPHドメインをGFPに融合したキメラ蛋白の膜から細胞質への移行により評価し、PKCβの細胞質から膜への移行はPKCβ-GFPの細胞質から膜への移行により、NO産生はDAF-2により評価した。細胞外Ca^<2+>濃度を0から1.2mMに上昇させると、細胞の局所よりCa^<2+>流入が開始し、細胞全体へとその流入は毎秒数十μmの速度でwave状に伝搬した。これにはIP_3産生が伴い、PLC阻害薬でIP_3産生およびCa^<2+> 2+ waveの伝搬が減弱された。また、この膜直下Ca^<2+>上昇伝に応じてPKCβ-GFPの細胞質から細胞膜への移行が観察され、その程度はATPまたはイオノマイシン刺激したときの5-10%であった。一方PKCβと同様にC2ドメインによりCa^<2+>依存性にERやゴルジへ移行するPLA_2の移行は細胞外Ca2+変化の影響を受けなかった。さらに、DAG-2を負荷した細胞でNO産生を評価したところ、細胞外Ca^<2+>変化のみでNO産生が影響を受けた(イオノマイシン刺激の5-10%変化)。従って、細胞外Ca^<2+>濃度変化に伴うIP_3産生に依存的して構成される膜直下Ca^<2+>waveは、独立したコンパートメントを伝搬、PKCβシゲナルおよびNO産生にも影響を与えることを確認した。上記の結果の一部は第26回日本高血圧学会で発表した。今後、膜直下局所Ca^<2+>変化をマイクロドメインであるカベオラに焦点をあてて研究を進めていく予定である。
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