2004 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞予後とセロトニントランスポーター多型のゲノム疫学的手法による関連解析
Project/Area Number |
15590743
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 洋 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10294092)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 泰志 大阪大学, 医学付属病院, 助教授 (90252642)
|
Keywords | 急性心筋梗塞 / 抑うつ気分 / セロトニントランスポーター / 遺伝子多型 / 長期予後 |
Research Abstract |
血液採取・抑うつ性気分障害評価・予後調査の状況 平成15年度に引き続き、平成16年度も患者登録・血液採取を続行した。急性心筋梗塞症例5188人中、院内死亡例、転院例、調査採血拒否例を除いた2572人が本研究対象として登録された。このうち、予後追跡可能であり、かつセロトニントランスポーター遺伝子多型の同定が可能であった2509人を最終的な予後関連解析対象とした。予後追跡率は99%であった。SDSテストはアンケート回収不能および不完全回答例が特に高齢者で多く存在し、完全回答が得られたのは1803例であった。 セロトニントランスポーター遺伝子多型とSDSスコア・心血管イベントとの関連 2509例中、50人が死亡し、心血管イベント(死亡・心筋梗塞・不安定狭心症・致死性不整脈・血行再建術の複合)は777例に発生した。セロトニントランスポーターのゲノタイプ頻度はSS : SL : LL=1611:795:103(Sアレル:Lアレル=4:1)であった。Luciferase assay等を用いた過去の機能解析より、SL型はSS型と同等の機能を有することから、SS+SL多型とLL多型の間の相違を検討した。SS+SL群はLL群に比較しSDSテストが有意に高値であり(39.5±8.6 vs 37.3±8.0,P=0.02)、心血管イベントの頻度が高率であった(31.3% vs 22.3%、p=0.046)。多変量解析において、Sアレルの存在は年齢・性別・古典的冠危険因子・梗塞の重症度・治療とは独立した予後予測因子であった(HR 1.69、95%CI 1.03-2.78、p=0.04)が、SDSスコアを加えた解析モデルにおいてはその独立性は消失した(HR1.30、95%CI0.84-2.01、p=0.24)。一方、SDSスコア>40点で定義される抑うつ性気分障害はこのモデルにおいても独立した予後規定因子(HR 1.35、95%CI1.13-1.63、p<0.01)であった。以上より、抑うつ性気分障害は心筋梗塞後の心血管イベントと関連しており、セロトニントランスポーター遺伝子多型はその規定因子として機能する可能性が示唆された。
|
Research Products
(6 results)