2004 Fiscal Year Annual Research Report
MAPキナーゼの新しい基質Mnk1の血管平滑筋細胞における機能の探索
Project/Area Number |
15590750
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
石田 隆史 広島大学, 病院, 講師 (40346482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 万里 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助手 (30359898)
吉栖 正生 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20282626)
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Keywords | 血管平滑筋 / 高血圧 / 動脈硬化 / シグナル伝達 / Mnk1 |
Research Abstract |
Angiotensin II (AngII)によるMnk1/2の活性化とその意義 血管平滑筋細胞においてAngIIがMnk1/2を活性化し、eIF4Eをリン酸化することを見いだした。AngIIによるMnk1-eIF4E経路の活性化には低分子量G蛋白質RasとMAPキナーゼERKが関与していた。さらにMnk1の活性化がAngIIによる蛋白合成および血管平滑筋細胞の肥大において重要な役割を担っていることを明らかにした。 酸化ストレスによるMnk1/2の活性化と核内移行 酸化ストレスによってMnk1/2は強く活性化された。しかしAngIIによる活性化と異なり、酸化ストレスによるMnk1/2の活性化にはERKとp38MAPKの2つのMAPキナーゼが関与していることが明らかとなった。またチロシンキナーゼc-SrcがMAPキナーゼの上流において、酸化ストレスによるMnk1/2の活性化に関与していた。さらに我々は酸化ストレスによりMnk1/2が核内に移行することを見出した。興味深いことに、Mnk1/2は核内において小斑状に局在していた。このことはMnk1/2が核内のPML bodyなどの高次構造体に移行、局在し転写調節などに関与している可能性が高いことを示している。 これらのことからMnk1がAngIIや酸化ストレスによる細胞内シグナル伝達における重要な分子であり、心血管リモデリングに関与することが強く示唆された。 Mnk1の新規基質の探索 本研究において今回申請するMnk1/2の新規基質の探索に関する予備的解析も開始し、一定の結果を得ている。すなわち培養血管平滑筋細胞に恒常的に活性の高いMnk1の変異体、あるいはベクターのみを遺伝子導入した細胞より抽出した核分画を二次元電気泳動で分離し、リン酸化蛋白の増減を観察した。活性型Mnk1を導入した細胞においてリン酸化の増加しているスポットが数個確認された。以上の結果はMnk1の未知の基質が核内に存在することを示唆している。
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