2003 Fiscal Year Annual Research Report
心リモデリングにおける誘導型シクロオキシゲナーゼと一酸化窒素合成酵素との相互作用
Project/Area Number |
15590770
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
新村 健 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70206332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長井 麻衣子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10306714)
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Keywords | シクロオキシゲナーゼ / 一酸化窒素合成酵素 / プロスタグランジンE_2 / 線維化 |
Research Abstract |
COX-2^<-/->ノックアウトマウスを用いて、心臓ならび腎臓における線維化進展時のCOX-2関連遺伝子発現の変化を検討した。 COX-2ノックアウトマウスは東京都精神神経研究所の山形博士より供給いただいた。Genotypingの結果、heterozygous(^<+/->)4匹、homozygous(^<-/->)10匹のCOX-2ノックアウトマウスをwild-type (WT)14匹とともに12週齢まで飼育した。 COX-2^<-/->ノックアウトマウスにおいては、8週齢頃より腎機能の悪化(血清尿素窒素、クレアチニン値の上昇)が見られたが、WTとheterozygousには腎機能に変化はみられなかった。病理形態学的検討では、すべての群で8週齢、12週齢いずれの時点でも心臓と腎臓には明らかな線維化は見られなかったが、homozygousにおいては8週齢から腎皮質の菲薄化が観察された。心臓と腎臓から抽出した蛋白を用いてWestern immunoblottingを行ったところ、COX-1、PGI_2ならびTXA_2合成酵素の蛋白発現レベルには、WT、heterozygous、homozygousの3群間で差を認めなかったが、細胞質型と膜型両方のPGE_2合成酵素の発現レベルが、特に腎においてWT>heterozygous>homozygousの順に減じていた。内皮型並び誘導型一酸化窒素合成酵素の発現には3群間で差を認めなかった。MMP-2並びMMP-9発現を蛋白レベルとzymographyから検討したところ、homozygousにおいてのみMMP-2の発現、活性が低下していた。 以上の結果から、constitutive COX-2はPGE_2合成を介して組織の線維化制御に深く関与している可能性が示唆された。
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