2003 Fiscal Year Annual Research Report
最適治療に向けた急性心筋梗塞における動脈圧反射過渡応答の定量的解析
Project/Area Number |
15590786
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
川田 徹 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 室長 (30243752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 和紀 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 室員 (10344350)
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Keywords | 急性心筋梗塞 / ベツオルド-ヤーリッシュ反射 / 伝達関数 / 平衡線図 / 交感神経活動 / 循環系モデル |
Research Abstract |
動脈圧反射は循環の恒常性を維持する重要な負帰還機構である。これまで正常状態における動脈圧反射の静特性及び動特性は詳しく調べられてきたが、急性心筋梗塞などに伴う動脈圧反射の異常は定量化されていない。本研究の目的は最適治療に資するために、急性心筋梗塞が循環調節に及ぼす影響を定量的に解析し、過渡応答を含めて循環動態の異常を正確に反映できる循環系モデルを作成することである。これによって急性心筋梗塞における循環調節の異常を、循環系モデルのパラメータの変化として客観的に評価できるようになる。このような評価は急性心筋梗塞のリスクの層別化に役立つと考えられる。また、急性心筋梗塞の病態に特化した循環系モデルを用いて、循環系及び自律神経系の動態を含めて投薬に対する生体応答を予測すれば、投薬量を必要最小限に抑えることができ、最適治療の開発に繋がると考えられる。本年度は、麻酔下のウサギを用いて、急性心筋梗塞の際に心室の化学受容器が刺激されて惹起されるベツオルド-ヤーリッシュ反射が動脈圧反射に及ぼす影響を定量化した。動脈圧反射の動特性を伝達関数法で定量化したところ、ベツオルド-ヤーリッシュ反射の誘発によって動脈圧反射の調節能を示す中枢の動的ゲインが約1/2に減少することが判明した。また、動脈圧反射の静特性を平衡線図法で定量化したところ、交感神経活動の最大値が約60%に抑制されることが判明した。このような変化を循環系モデルに組み込んでシミュレーションを行うと、ベツオルド-ヤーリッシュ反射が誘発された状態では単に血圧が低下するだけではなく、循環調節能が著しく障害されており、投薬によって生じる循環の変化(外乱)に対して極めて影響されやすい状態にあることが判明した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kashihara K: "Bezold-Jarisch reflex attenuates dynamic gain of baroreflex neural arc"Am J Physiol Heart Circ Physiol. 285・2. H833-H840 (2003)
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[Publications] Kawada T: "A derivative-sigmoidal model reproduces operating-point dependent baroreflex neural arc transfer characteristics"Am J Physiol Heart Circ Physiol. (in press). (2004)
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[Publications] Uemura K: "A novel framework of circulatory equilibrium"Am J Physiol Heart Circ Physiol. (in press). (2004)