2004 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショック蛋白質gp96と樹状細胞による細胞免疫療法および免疫遺伝子治療
Project/Area Number |
15590789
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山崎 浩一 北海道大学, 病院, 講師 (20312358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 保明 札幌医科大学, 医学部, 助手 (80322329)
谷 憲三朗 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (00183864)
秋田 弘俊 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70222528)
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Keywords | 熱ショック融合蛋白質 / gp96 / 免疫遺伝子治療 / CD8 CTL / 癌拒絶 |
Research Abstract |
腫瘍細胞から精製された熱ショック蛋白質gp96は、小胞体内に存在し腫瘍細胞内の抗原ペプチドを保持しており、このgp96-ペプチド複合体を免疫すると腫瘍あるいはペプチド特異的なT細胞免疫応答を誘導できることが知られている。そこで我々は、免疫応答のさらなる増強を目的として、あらかじめ腫瘍由来のgp96でパルスした樹状細胞(DC)の治療ワクチンとしての有効性をマウス肺癌(LLC ; Lewis Lung Cancer)にOVAを遺伝子導入したLLC-OVAモデルにおける治療的抗腫瘍効果を検討した。DCは骨髄細胞をGM-CSF下で5日間培養したものを用いた。1×10^5個のLLC-OVAをC57BL/6マウスの右側腹部に接種し、day 3、7、10、14に左側腹部にLLC-OVAから抽出したgp96、DCまたはgp96でパルスしたDCをそれぞれ接種した。その結果、LLC-OVA由来gp96およびDCにより腫瘍の増大は軽度に抑制されたが、LLC-OVA由来のgp96でパルスしたDCではさらに腫瘍の増大が抑制された。一方で抗腫瘍効果がペプチドを介して誘導されているかを確認するために、LLC-OVA由来gp96をパルスしたDCとOT-1細胞を共培養し、IFN-γの放出を検討したが、OVAに特異的な反応は確認できなかった。しかし、LLC-OVA由来のgp96でパルスしたDCによる治療後のリンパ節中にはOVA特異的CD8陽性細胞が多く認められ、OVA特異的なCTLが増加したことを確認できたが、その差はわずかなものであった。さらに、gp96のDCへの取り込みを共焦点レーザー顕微鏡を用いて検討したところ、DCに取り込まれたgp96はエンドソームへ移行して保持するペプチドをMHC class I分子に受け渡している可能性が示唆された。
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