2003 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠時無呼吸症候群における低酸素・再灌流ストレスと動脈硬化促進因子に関する研究
Project/Area Number |
15590821
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
木村 弘 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20195374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉置 伸二 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (30347546)
福岡 篤彦 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (10336852)
吉川 雅則 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80271203)
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Keywords | 低酸素 / 動脈硬化 / 睡眠 / 無呼吸 / サイトカイン / 細胞外マトリックス |
Research Abstract |
本研究においては、動脈硬化の形成促進因子としての低酸素ストレスの関与を明らかにするために、閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)患者における単球/Mφ機能に着目し検討した。OSAS患者15例(AHI≧30の重症A群10例、AHI<30の軽中等症B群5例)と対照群(C群)9例を対象とし、就眠前および翌早朝にヘパリン加採血を行い、単球を分離後、LPS10μg/mlの刺激下で24時間培養し培養上清中のTNF-α、MMP-9濃度等をELISA法で測定した。これまでの検討では以下の結果をえている。1)TNF-α産生能は、A群でのみ睡眠前と比較して睡眠後に亢進していた。また、睡眠前後とも、A群ではB群と比較し亢進していた。2)MMP-9産生能は、各群ともに睡眠前後で明らかな変化を認めなかったが、睡眠後ではB群はC群よりも亢進していた。3)患者群のTNF-α産生能は、睡眠前には睡眠時の低酸素指標と相関を認め、さらに睡眠後ではAHIをも含めた各指標と相関した。 動脈硬化の発症・進展は炎症・免疫反応の場として認識することができ、とりわけTh1細胞由来の炎症反応が重視されてきた。また、TNF-αは血管内皮細胞での接着分子発現の亢進やケモカインの産生亢進などによって動脈硬化病変の形成を促進することも報告されている。本研究では、重症OSAS患者においては、末梢血単球のTNF-α産生能は睡眠後に亢進しており、また、早朝の血漿TNF-α濃度は睡眠時低酸素の指標と相関していた。今回の結果は、夜間低酸素再潅流ストレスによってTNF-αが誘導されることを示唆しており、低酸素ストレスがOSAS患者における動脈硬化発症の一因である可能性を支持するものと考える。血管壁の主要な細胞外マトリックス成分の分解に関与するMMPsとの関連も含め、さらに症例を積み重ね検討を進める方針である。
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Research Products
(1 results)