2004 Fiscal Year Annual Research Report
肺気腫の危険因子としてのアデノウイルス潜伏感染に関する研究
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15590822
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
東本 有司 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (70316115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 秀一 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80137273)
山縣 優子 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (90347592)
石口 正 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70285401)
慶長 直人 国立国際医療センター, 呼吸器疾患研究部, 部長 (80332386)
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Keywords | 肺気 / COPD / 肺胞上皮細胞 / 一酸化窒素 / 気管上皮細胞 / 潜伏感染 / アデノウイルス / E1A蛋白 |
Research Abstract |
アデノウイルスの潜伏感染は肺気腫の成因の一つとして最近注目されている。そこで、アデノウイルスE1A遺伝子が炎症を増強し、肺胞構造を破壊し、COPDの原因になりうるのかを検討することを計画した。平成15年度は、アデノウイルスE1A遺伝子がこらの細胞において、Secretory Leukoprotease Inhibitor (SLPI)及び、Elafin産生を抑制して肺障害を増強している可能性があることを報告した。本年度の研究では、アデノウイルスE1A遺伝子はこれらの蛋白分解酵素に対する産生抑制作用の他に、一酸化窒素(NO)の産生を抑制する作用があることが分かった。 方法;E1Aを導入したA549細胞(E1A陽性細胞)、E1Aを発現していないA549細胞(コントロールtransfectants)、およびuntransfected A549細胞を96穴プレート上で培養した。リポ多糖類(LPS)かサイトカイン混合物(CM)による刺激の後に、培養液中のNO代謝物質(亜硝酸塩と硝酸塩)を化学発光で測定した。一酸化窒素合成酵素(NOS)タンパク質(inducible (iNOS)とendothelial (eNOS) isoforms)発現はウエスタンブロッティング法で測定した。iNOS mRNA表現はノーザンブロット法とRT-PCRによって測定した。 結果;サイトカイン混合物で誘導されるNO産生はE1A陰性の細胞に比べて、E1A陽性A549で有意に低下していた(p<0.0001)。E1A蛋白はiNOSタンパク質発現を抑制したが、eNOSタンパク質発現には影響しなかった。 結論;NOは強い抗ウイルス作用を持っているため、アデノウイルスE1A蛋白はNO産生を抑制することで人の細胞内にとどまって潜伏感染を可能にしているのではないかと考えられた。
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Research Products
(4 results)