2003 Fiscal Year Annual Research Report
重症閉塞型睡眠時無呼吸症候群に対するnasal CPAP療法の長期効果
Project/Area Number |
15590830
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
赤柴 恒人 日本大学, 医学部, 助教授 (90142512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 千春 日本大学, 医学部, 助手 (60328713)
齋藤 修 日本大学, 医学部, 助手 (10297799)
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Keywords | sleep apnea syndrome / nasal CPAP / quality of life / excessive daytime sleepiness / hypersensitivity CRP |
Research Abstract |
1)Nasal CPAPが重症OSAS患者の日中眠気、うつ状態、QOLに及ぼす影響 睡眠検査(polysomnography;PSG)により、閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)と確診され、Apnea-hypopnea index (AHI)>20の重症患者132例の日中の眠気をEpworth Sleepiness Scale(ESS)で、精神神経症状をSelf-rating Depression Scale(SDS)で、Quality of LifeをShort Form-36(SF-36)で評価し、38人の健常者コントロールと比較した。Nasal CPAP治療を自宅で継続させ、2-4か月後に、各々の指標を再検査した。患者群の平均AHIは、59.4±23.8、平均SaO2は90.9±4.9%、最低SaO2は68.0±11.1%と重症のOSASであった、患者群のESS、SDS、SF-36のほとんどは、健常者に比し有意に障害されていた。患者のQOLは、うつ状態の指標であるSDSと有意の相関を示し、OSAS患者のQOLは精神神経機能に影響されると考えられた。2-4か月のnasal CPAP治療後には、ESSは9.7±4.5から4.0±2.4(p<0.0001)、SDSは49.2±10.4から45.1±9.6(p<0.0005)へと有意に低下し、SF-36も8項目中7項目が有意に改善した。治療による変化を検討すると、QOLの指標であるSF-36の変化率は、ESSの変化率とは関連しなかったが、SDSの変化率と有意に相関した。以上の結果から、重症のOSAS患者のQOLは明らかに障害されているが、nasal CPAP治療により改善する。このQOLの改善は、日中の眠気の改善には関連せず、うつ状態の改善に伴うと考えられた。 2)Nasal CPAP治療が、OSAS患者のhypersensitivity CRP(hCRP)に及ぼす影響 OSASと心循環系合併症との関連が米国の大規模研究から明らかにされているが、最近、OSAS患者においてhCRPの上昇が報告され、慢性炎症の存在がOSAS患者の循環系合併症に関与する可能性が示唆されている。そこで、34例のOSAS患者のhCRPについて、nasal CPAP治療前後の変化を検討した。治療前のhCRPはbody mass inderx(BMI)、AHI、最低SaO2と有意に相関した。平均9か月のnasal CPAP治療後に、hCRPは1816から1949ng/mlに増加したが有意な差ではなかった(p=0.70)。以上の結果から、CPAP治療は必ずしも炎症性プロセスを抑制しないと考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 赤柴恒人: "睡眠呼吸障害.Sleep Heart Health Studyの評価を中心にして-"呼吸と環境. 51. 183-186 (2003)
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[Publications] 赤柴 恒人: "睡眠時無呼吸症候群の病態と治療"日大医学雑誌. 62. 129-132 (2003)
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[Publications] 赤柴 恒人: "SASと社会的問題"Home Care Today. 7. 79-83 (2003)
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[Publications] 赤星俊樹, 赤柴恒人: "睡眠時無呼吸をめくって。発症のメカニズム"Pharma Medica. 21. 21-26 (2003)
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[Publications] 赤柴 恒人: "Overlap syndrome"呼吸と循環. 52. 51-55 (2003)