2005 Fiscal Year Annual Research Report
重症閉塞型睡眠時無呼吸症候群に対するnasal CPAP療法の長期効果
Project/Area Number |
15590830
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
赤柴 恒人 日本大学, 医学部, 助教授 (90142512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤星 俊樹 日本大学, 医学部, 助手 (20409022)
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Keywords | 睡眠時無呼吸症候群 / 血清BNP値 / 心不全 / nasal CPAP治療 / 肥満低換気症候群 / 高炭酸ガス血症 / 拘束性換気障害 |
Research Abstract |
1)重症閉塞型睡眠時無呼吸症候群患者の血清BNP値とそれに及ぼすnasal CPAP治療の長期効果 Brain natriuretic peptide(BN)は、心室から分泌されるペプタイドで、循環器領域では心不全の診断に汎用されている。閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は、睡眠中にくり返される上気道閉塞により強い陰圧が発生して心に大きな影響を及ぼし、同時に無呼吸の結果起こる著明な低酸素血症も心循環動態に悪影響を及ぼす。従って重症なOSAS患者では潜在的に心不全状態を呈している可能性が考えられる。そこで、52例のOSASを対象として、nasal CPAP治療前後の血清BNP値を比較検討した。治療前のBNP値から、正常群(1群27例)、上昇群(II群17例)、上昇+心疾患群(III群8例)の3群に分け比較検討した。3群間でOSASの重症度は差を認めなかった。血清のBNP値はOSASの重症度と有意な関連を認めなかった。約6か月間、nasal CPAP治療を行いBNP値を再検したが、3群のいずれも有意な変化を認めなかった。以上の結果から、OSAS患者においては、血清BNP値はその心機能の評価に有用でないことが示唆された。 2)肥満低換気症候群(obesity-hypoventilation syndrome : OHS)の臨床的検討 OHSは、肥満と日中の高炭酸ガス血症を伴った重症のOSASであるが、予後の悪いことが知られており、その臨床的特徴を知ることは有意義であろうと考えられる。そこで、多施設合同でOSAS患者の登録を行い、全体のOSASの中でOHSが占める割合を調査した。OHSは7施設611例のOSAS中55例(9%)に認められた。OHSは他のOSASに比し、より若く、肥満が強く、過眠傾向で、OSASが重症で、肝障害が強く、コレステロール値が高かった。また、肺機能検査では、より拘束性障害が強かった。しかし、体重を補正すると、拘束性換気障害を除いてこれらの差は消失した。日中の高炭酸ガス血症は、肺機能と血液ガスと有意に関連した。OHSにおいて、PaCO2は、%肺活量(VC)ともっとも良い相関をしめした。以上の結果より、OSAS中でOHSが占める割合は高くなく、その異常の多くは肥満に依存していると考えられた。また、OHS患者における日中の高炭酸ガス血症の存在は、肺機能、特に肺活量の低下に依存すると考えられた。
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Research Products
(7 results)