2006 Fiscal Year Annual Research Report
末梢気道上皮に特異的発現を示すRab38Gタンパク質の間質性肺疾患への関与の解明
Project/Area Number |
15590833
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
長内 和弘 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (70221158)
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Keywords | Rab38低分子量Gタンパク質 / 間質性肺疾患 / 肺サーファクタント / ヘルマンスキー・パドラック症候群 / ルビーラット |
Research Abstract |
ルビーラットの形質を有するFawn-Hooded(FH)ラットおよびLong Evans Cinnamon/Crj(LEC/Crj)ラット尻尾よりゲノムDNAを抽出しPCR法でDNA解析したところ、Rab38遺伝子エキソン1のアミノ酸翻訳開始コドンATGがATAに変異しており核酸の点突然変異が起きていた。同ラット肺組織タンパク質のウエスターン・ブロットを施行したところRab38タンパク質の欠損が確かめられた。FHラットおよびLEC/Crjラットの眼は野生型に比し深赤色でルビー色をしており、体毛はシナモン色をしており眼皮膚型白皮症の特徴を備えていた。出血時間はすべて15分以上に延長していた。すなわちヘルマンスキー・パドラック症候群のモデル動物の形質を備えていた。LEC/Crjラット肺には気腫性肺病変が起きており、肺胞II型上皮細胞は腫大し、胞体内には大型の層状封入体が充満していた。また気管支肺胞洗浄液、層状封入体分画、全肺ホモジネート中の肺サーファクタントのウエスターン・ブロットを施行したところ、SP-Bタンパク質が細胞内に貯留し、気腔への分泌が障害されていた。単離培養II型上皮細胞からの肺サーファクタントの分泌活性を検討したところ、LEC/Crj由来細胞では無刺激では分泌が優意に低下していたが、アゴニスト刺激では逆に著明に亢進していた。これらのことからラットにおいてRab38タンパク質が欠損すると眼皮膚型白皮症、出血異常、気腫性肺病変が起きることが知られた。したがって、もしヒトにおいてRab38の高度の機能不全を起こすような遺伝子異常が起こると眼皮膚型白皮症、易出血性、間質性肺炎・肺線維症を呈するヘルマンスキー・パドラック症候群が発症すると推測された。
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Research Products
(5 results)