2003 Fiscal Year Annual Research Report
COX2、LOX、EGFRに対する分子標的剤感受性の解析と新規肺癌治療法の開発
Project/Area Number |
15590835
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
樋田 豊明 愛知県がんセンター, 研究所, 研究員 (80250249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 隆 愛知県がんセンター, 分子腫瘍学部, 部長 (50231395)
杉浦 孝彦 愛知県がんセンター, 研究所, 研究員 (50117826)
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Keywords | 肺癌 / EGFR阻害剤 / EGFR / HER2 / HER3 / HER4 / 増殖抑制 / K-ras変異 |
Research Abstract |
上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤であるゲフィチニブはその有用性が高く評価されているが、感受性を規定する因子については不明である。本年度は、ゲフィチニブの肺癌細胞に対する効果について、EGFRファミリーの発現レベルやras遺伝子変異との関連性について検討した。肺癌細胞株19株を用い、EGFRファミリーであるEGFR、Her2、Her3、Her4及び、EGFRの活性型であるリン酸化formの発現レベルについてはWestern blot法により、ゲフィチニブ感受性についてはMTTアッセイ法を用いて検討した。また、EGFRのシグナル伝達経路の下流に存在するK-ras遺伝子の変異についてはdirect sequence法にて検出し、ゲフィチニプ感受性との関連性について検討した。その結果、EGFRの発現レベルは、扁平上皮癌で一番高く、次いで腺癌と大細胞癌の順で、小細胞癌では発現が低くWestern blot法にては検出不可であった。ゲフィチニブの肺癌細胞に対する増殖抑制効果の検討では、ゲフィチニブにより用量依存性の増殖抑制効果が認められ、IC50値が臨床的到達可能濃度である1μM以下である細胞株は19株中5株であり、EGFR発現量とゲフィチニブ感受性の間に明らかな関連性は認められなかった。また、EGFRの活性型であるリン酸化formやHer2、Her3、Her4の発現とゲフィチニブ感受性との間にも有意な関連性は見出せなかった。肺癌の主要な組織型である腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌、小細胞癌とゲフィチニブ感受性との関連性は、小細胞癌で感受性が低い傾向が認められたが、組織型とゲフィチニブ感受性の間に関連性は明らかではなかった。K-ras遺伝子の変異は、腺癌細胞株6株中4株、大細胞癌細胞株3株中2株、扁平上皮癌細胞株6株中1株、小細胞癌細胞株4株では変異なしの結果が得られたが、K-ras変異とゲフィチニブ感受性との間にも明らかな、関連性は認められなかった。本研究の結果から、肺癌細胞のゲフィチニブに対する感受性に関して、EGFRファミリーであるEGFR、Her2、Her3、Her4の発現量やk-ras変異からはゲフィチニブ感受性の予測は困難との結果が得られ、今後、遺伝子解析によるゲフィチニブ感受性因子の同定が重要課題と考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Suzuki, T.et al.: "The sensitivity of lung cancer cell lines to the EGFR-selective tyrosine kinase Inhibitor ZD1839 ('Iressa') is not related to the expression of EGFR or HER-2 or to K-ras gene status."Lung Cancer. 42. 35-41 (2003)
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[Publications] Tajima, K.et al.: "Interferon-γ differentially regulates susceptibility of lung cancer cell lines to telomerase-specific cytotoxic T lymphocytes"Int.J.Cancer. in press.