2003 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体疾患進展におけるメサンギウム細胞の接着因子シグナル伝達経路の解明
Project/Area Number |
15590839
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大高 徹也 東北大学, 医学部, 教授 (70271921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 謙二 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (90344671)
佐藤 博 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (60215829)
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Keywords | 半月体性腎炎 / 細胞外基質蛋白 / インテグリン / シグナル伝達蛋白 |
Research Abstract |
本年度は、半月体性腎炎を対象に、メサンギウム細胞における各種インテグリンの発現並びに細胞内シグナル伝達系蛋白(focal adhesion kinase (FAK), Src family tyrosine kinase (c-Src、p-c-Src)およびPI3Kの発現を検討した。この目的で、半月体性腎炎20例を対象に各種細胞外基質(ECM)、各種integrin及び上記integrin関連シグナル伝達蛋白発現を免疫組織学的に検討した。半月体は連続切片によるPAS染色にて、細胞性(CC)、線維細胞性(FCC)、線維性(FC)の3群に分類し検討した。 1.糸球体におけるインテグリン発現:alphaVおよびbeta3インテグリンは半月体特異的に発現しており、CCに強く発現、FCCでは明らかに減弱、FCではほぼ消失した。alpha3は半月体および係蹄壁に、alpha1はメサンギウムに発現していた。beta1は半月体、係蹄壁およびメサンギウムに広範な発現が観察された。alpha3およびbeta1の発現は、主にCCおよびFCCで高度に発現しており、FCでは減弱した。 2.糸球体におけるシグナル伝達蛋白発現:FAKは半月体およびメサンギウムに、c-Src、Aktは半月体に発現しており、いずれも、CC、FCCに高度に発現、FCでは減弱した。 3.半月体におけるECM沈着:今回検討したI型〜VI型collagen(CL)、laminin(LN)、fibronectin(FN)、vitronectin(VN)のうち、FNのみが全ての半月体に一致した沈着を示し、CC、FCCでは高度陽性、FCでは減弱した。I型、IV型CL、LNはFCC以降の半月体で陽性であった。 以上の結果より、細胞性および線維細胞性半月体の構成細胞はalpha3-beta1、および、alphaV-beta3 integrinを発現しており、FN受容体として機能していることが示唆された。FNとの結合を介したintegrin/FAK/c-Src/Akt経路の活性化が、その生存・増殖に関与している可能性が示唆された。
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[Publications] Nakayama K., Ootaka T., Sugiura A., Sato H.et al.: "The expression of integrin-associated signal transduction molecules in human crescentic glomerulonephritis (CreGN)"J.Am.Soc.Nephrol. vol.14. 148A-148A (2003)