2004 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体上皮細胞の分化と形態・機能維持におけるサイクリン依存性キナーゼ5の役割
Project/Area Number |
15590843
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
廣村 桂樹 群馬大学, 医学部, 助手 (70292597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野島 美久 群馬大学, 医学系研究科, 教授 (90201699)
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Keywords | 糸球体上皮細胞 / サイクリン依存性キナーゼ / CDK5 / 細胞周期制御蛋白 / 分化 / 腎炎 |
Research Abstract |
本年度はHIV腎症のモデルマウスを米国国立衛生研究所より入手し、当教室で飼育することが可能となった。このマウスはpodccinプロモーターを用いたtet-on systemにより、doxycyclineを投与することで、糸球体上皮細胞特異的にHIV-1アクセサリー遺伝子vprが発現する。さらに片腎摘出により、多量の蛋白尿を伴う、ヒトHIV腎症類似のcollapsing/cellular typeの巣状糸球体硬化症病変が作成できる。糸球体硬化の過程において糸球体上皮細胞の脱分化、増殖が見られ、今回の課題の検討には最適なマウスと考えられる。本年度はこのモデルマウスを用いてのサイクリン依存性キナーゼ5(CDK5)の解析することを研究主眼とした。 HIV腎症モデルマウスにおいて、CDK5は糸球体上皮細胞の脱分化に伴い、その発現が減弱、消失した。またCDK5に結合しCDK5のキナーゼ活性を高める,蛋白であるp35もCDK5と同様に、脱分化に伴い、その発現が減弱、消失した。糸球体上皮細胞の分化マーカーである、WT1、synaptopodin、nephrinなども同様に発現の減弱・消失を認めた。さらにp35と違いCDK5に結合する蛋白ではあるが、CDK5のキナーゼ活性には関与しないCyclin D3についても検討したところ、Cyclin D3の発現も減弱・消失した。一方、細胞増殖マーカーであるPCNAの発現を認め、糸球体上皮細胞が細胞周期に入っていることが示された。 以上より、CDK5とその関連蛋白は、上皮細胞の脱分化に伴い消失・減弱することがvpr発現によるHIV腎症モデルマウスでも確認され、CDK5とその関連蛋白が、糸球体上皮細胞の分化状態の変化に関与していることが推測された。 上記の成果は、平成17年6月に開催される、第48回日本腎臓学会学術総会で発表予定し、論文投稿の予定である。
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