2003 Fiscal Year Annual Research Report
尿細管上皮幹細胞の同定と急性腎不全回復における役割の検討
Project/Area Number |
15590848
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
藤垣 嘉秀 浜松医科大学, 医学部, 助手 (20283351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 龍夫 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (30200819)
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Keywords | 上皮幹細胞 / 近位尿細管上皮 / 急性腎不全 / 酢酸ウラニウム / オートラジオグラフィー / bromodeoxyuridine / Ki67 / cyclin B1 |
Research Abstract |
これまで酢酸ウラニウム(UA)誘発急性腎不全ラットモデルにおいて、その回復過程では近位尿細管遠位端の細胞群からDNA合成を開始することを観察している。今回、これら細胞群が近位尿細管傷害の回復に関与する上皮幹細胞の可能性があるか否かを検討した。 SDラットにUA(0.25、2、5mg/Kg)を静注し屠殺前にS期細胞をbromodeoxyuridine(BrdU)の皮下注により標識し2から5日後に屠殺し腎組織にてBrdU、Ki67、cyclin B1を免疫染色した。また別のグループのラットにはUA(0.25、2、5mg/Kg)静注後の2、2.5、3日後に[^3H]-thymidineをそれぞれ皮下注し初期出現DNA合成細胞を標識し7、21日後に屠殺しオートラジオグラフィーにて標識保持細胞の局在を観察した。 尿細管壊死は容量依存性でUA0.25mg/Kg投与ラットでは皮髄境界周囲近位尿細管のみに、2から5mg/Kgと増加に従い近位尿細管S3全域に広がった。UA2、5mg/Kg投与ラットでは2日後にS3遠位端領域にBrdU、Ki67陽性DNA合成細胞を認め、その後cyclin B1(G2/M期)も陽性となり5日後までにはS3全域に広がった。オートラジオグラフィーでは、7日後にほぼS3全域に標識保持細胞を、21日後には遠位端領域に集簇して標識保持細胞を認めた。UA0.25mg/Kg投与ラットでは遠位端領域を除くS3でDNA合成と標識保持細胞を認めた。 S3には標識保持slow-cycling cellが存在することが明かとなった。特に遠位端領域には、広範なS3傷害後の再生を担う上皮幹細胞が局在する可能性がある。今後、近位尿細管遠位端のslow-cycling cellが、どのように急性腎不全回復過程で増殖・移動するかの検討をする予定である。
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