2005 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症の関与する蛋白のプロテオーム解析-特にTGF-βの新規標的分子の検索
Project/Area Number |
15590870
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Research Institution | KURUME UNIVERSITY |
Principal Investigator |
玉置 清志 久留米大学, 医学部, 講師 (10312141)
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Keywords | 糖尿病 / 糖尿病性腎症 / 糖化最終産物 / 酸化ストレス / TGF-β |
Research Abstract |
糖尿病性腎症の発症及び進展過程では、高血糖の他、酸化ストレス、AGE(糖化最終産物)、アンギオテンシンII(Ang-II)、ポリオール代謝経路などが重要であるが、そのいずれもがTGF-βをメデエーターとして糸球体硬化や間質線維化に関与する。TGF-βは上記の代謝異常の主なメデエーターと考えられるが、糖代謝そのものに影響を与えるものではない.糖尿病性腎症の進展過程では糖尿病の代謝異常に関与するメデエーターとTGF-βの作用発現に介在するメデエーターは重複するものとそうでないものがあると予想される。機能蛋白を含む蛋白の発現パターンの変化を読みとるプロテオーム解析によって、新規の標的蛋白を同定することが可能となってきた。培養メサンジウム細胞を用いて、AGE-Ang-II-TGF-β-Smadという系を介して、細胞肥大、基質タンパク(ファイブロネクチンなど)、PAI-1の産生といった、糖尿病性腎症における糸球体硬化形成に寄与することを明らかにした。引き続き、TGF-βの下流域にある分子の検索を行っている。 一方、慢性腎不全患者では、Ang-II受容体拮抗薬(ARB)が、その進行に関連することが明らかにされている。慢性腎不全患者では、血漿TGF-β濃度が腎不全の進行とともに増大することから、ARBの血漿TGF-β濃度に対する影響を検討したところ、ARB開始12週間後に、その低下を認めた。また、経口球形吸着薬(クレメジン)は腎不全の進展を抑制することが明らかにされているが、その機序におけるTGF-βの関与を検討するため、慢性腎不全患者にクレメジン投与を行い尿中及び血漿のTGF-β濃度を検討したところ、血漿TGF-β濃度の低下を認めた。これらの結果は、ヒト腎疾患においても、TGF-βが関与することを示唆するものである。
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Research Products
(2 results)