2003 Fiscal Year Annual Research Report
脳プロテオーム解析法による多発性硬化症軸索障害機序の解明
Project/Area Number |
15590894
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村井 弘之 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (80325464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池添 浩二 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (80343317)
荒木 令江 熊本大学, 医学部, 講師 (80253722)
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Keywords | 多発性硬化症 / 自己抗体 / 軸索障害 / 二次元免疫ブロット / プロテオーム解析法 |
Research Abstract |
多発性硬化症患者血清中および髄液中の自己抗体が認識する脳・脊髄発現蛋白質の同定と機能解析を行うことを目的のひとつとしている.中枢神経疾患のないヒト脳二次元電気泳動マップはすでに作成している.視神経脊髄型多発性硬化症類似の視神経炎および脊髄炎を来した症例や,慢性進行性脳炎の症例において,まず第一に抗神経抗体を検索した.ヒト脳,ラット脳・肝臓のホモジネートを用い,一次抗体として患者血清を使用して一次元免疫ブロット法により検索を行った.その結果,視神経炎+脊髄炎の1例,慢性進行性脳炎の1例に抗神経抗体を検出した.次に慢性進行性脳炎症例の自己抗原を,二次元免疫ブロッティング/質量解析により解析した.ヒトの脳ホモジネートを二次元電気泳動にて展開し,PVDF膜にブロッティングを行った.一次抗体として患者血清を用いてスポットを検出し,ゲル状のスポットとのマッチングを行った.ゲルから切り出したスポットを用いて質量分析を行い,データベース検索による蛋白質同定を行った.二次元免疫ブロットでは3つのスポットが検出された.これらのスポットを切り出し,質量スペクトルを質量分析装置で解析した.質量分析の結果,これらのうち1つのスポットはdihydrolipoamide dehydrogenase (E3)と同定された.このようにして,二次元免疫ブロッティング法を用いて,抗体の認識する自己抗原を同定し得た.橋本脳症における抗神経抗体が認識する自己抗原がα-enolaseであることも報告したが,これも同様の二次元免疫ブロッティング法で同定できたものである.今後,多発性硬化症患者の血清や髄液が反応する候補抗原蛋白質の分離・同定を行っていく予定である.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 三野原元澄, 川尻真和, 孫暁嘉, 石津尚明, 小副川学, 村井弘之, 吉良潤一: "Subcortico-optico-myelitis with anti-neuronal autoantibody"神経免疫学. 12. 76-76 (2004)
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[Publications] 孫暁嘉, 荒木令江, 三野原元澄, 高倉由佳, 村井弘之, 佐谷秀行, 吉良潤一: "慢性進行性大脳皮質炎症例の脳自己抗原の二次元免疫ブロッティング法による解析"神経免疫学. 12. 77-77 (2004)
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[Publications] 村井弘之, 梅風君, 小副川学, 越智博文, 吉良潤一: "CIDPの髄液CD4陽性T細胞内サイトカインの解析"末梢神経. 14. 147-149 (2003)
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[Publications] Ochi H, Murai H, Osoegawa M, Minohara M, Inaba S, Kira J: "Juvenile muscular atrophy of distal upper extremity associated with airway allergy : Two cases successfully treated by plasma exchange"J Neurol Sci. 206. 109-114 (2003)
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[Publications] Osoegawa M, Ochi H, Kikuchi H, Shirabe S, Nagashima T, Tsumoto T, Tamura Y, Yamabe K, Takahashi H, Iwaki T, Kira J: "Eosinophilic myelitis associated with atopic diathesis : a combined neuroimaging and histopathological study"Acta Neuropathol (Berl). 105. 289-295 (2003)