2004 Fiscal Year Annual Research Report
His46Arg点変異を示す家族性筋萎縮性側索硬化症の発症機構の研究
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15590899
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
山口 忠敏 宮崎大学, 医学部, 助教授 (80037598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 創 宮崎大学, 医学部, 助手 (80253839)
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Keywords | dihydropyrazine / PC12 / Schwann / radical / copper(II) |
Research Abstract |
DNA切断活性を有する糖由来生成物ジヒドロピラジン類(DHPs)の神経性疾患との関連を検討するため、培養細胞を用いてDHPの細胞機能への影響について解析した。神経系モデルに利用される2種の細胞株(PC12、Schwann細胞)を準備し、その培養液中にDHP類を添加、24時間継続培養を行った。DHPを作用させた細胞はサンプルバッファーで可溶化し、その抽出液をSDS-PAGEでタンパク分離、各特異抗体を用いたimmunoblottingで細胞機能に関連する分子の変動を解析した。構造タンパクMAP2とNF-Lについて、それぞれの発現量にDHP添加による大きな変化は認められなかった。Schwann細胞では、β-cateninの発現量低下が認められた。DHP添加時の細胞形態の変化からアポトーシスの関与も想定されたが、アポトーシスの一つの指標となるPARP分子の断片化は生じていなかった。これまでのヒトHeLa細胞の解析において大きな変動が認められたMAPK(JNK、p38、ERK1/2)活性は、ERK分子の活性化のみがPC12、Schwann細胞両者で認められ、Schwann細胞ではERKの上流のRaf分子の活性化が生じていた。CDKのインヒビターであるp27、p16の発現低下と細胞分裂期キナーゼであるcdc2タンパクの不活化が認められた(日本分子生物学会年会等にて、公表)。 以上の結果、DHPは神経細胞において細胞の構造分子に対する影響は少なく、MAPK(ERK1/2)による細胞増殖を促進し、細胞分化状態への移行を、促していると推定される。このことが神経性疾患の病態とどのような関連があるのかより詳細な解析が必要である。疾患の発症メカニズムとの関連について検討と同時に、DHP類を疾患に対する薬剤としての有効性についての検討のための解析も重要であると思われる。 他方、Cu^<2+>の存在下のDHPの効果を検討して、反応種としての炭素中ラジカルの発生を促進することを明らかにした(結果のまとめの投稿は、一報は採択、次報は、審査中)。
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Research Products
(1 results)