2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590914
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
酒井 宏一郎 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (70225754)
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Keywords | 傍腫瘍神経症候群 / 小脳変性 / 神経蛋白 / 自己免疫 |
Research Abstract |
傍腫瘍性小脳変性症に関連する小脳由来腫瘍・神経共通抗原遺伝子ヒトpcd17 cDNAをC57BL/6マウスの受精卵に注入して遺伝子改変マウスのラインを得た。野生型と臨床症状や病理所見に明らかなフェノタイプの違いは見出せなかったが、一つのラインに野生型には発現していない脾臓組織でのpcd-17蛋白の発現が確認された。発現の影響を細胞レベルで解析する為に機能を検討した。pcd-17がMRG Xと結合することは既に報告したが、同じMORFファミリーのMRG15とも結合することが確認された。MRG15が関与するB-mybプロモーター活性を検討すると、B-mybプロモーターにpcd-17単独では影響しないが、MRG15との共発現により、MRG15のプロモーター活性化を抑制する結果を得た。pcd-17はMRG15との結合を介し、MRG15のRb-1との結合と拮抗し、Rb-1のB-mybプロモーター活性に対する抑制作用を阻害したと考えられた。さらに、傍腫瘍性小脳変性症に関連しpcd-17のロイシンジッパー部位を認識する抗神経細胞抗体を細胞内に移入して蛋白間の結合を阻害して検討すると、抗体はプロモーター活性に対して活性作用を回復させる結果を得た。これらの結果により、pcd-17はMRG15との結合を介してB-mybプロモーター活性を制御し得ることが明らかになり、神経細胞に対しpcd-17がRb-E2F系を介した転写調節に関与し、細胞の生存に重要な働きをしている可能性を示唆した。 さらに、pcd-17は小脳変性症に関連する蛋白との相互作用について検討した結果、遺伝性小脳変性症に関わる蛋白と結合することを見出した。また、pcd17のマウスホモローグであるmpcd17 cDNAを得た。酵母細胞発現プラスミドにpcd-17遺伝子を導入し、DNA免疫と同様の効果をもつ組み換え体酵母よる感作を試みた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Sakai K, Kitagawa Y, Saiki S, Saiki M, Hirose G: "Effect of a paraneoplastic cerebellar degeneration-associated neural protein on B-myb promoter activity."Neurobiol of Dis. (in press).
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[Publications] Saiki S, Sakai, K, Kitagawa Y, Saiki M, Kataoka S, Hirose G: "Mutation in the CHAC gene in a family of autosomal dominant chorea-acanthcytosis."Neurology. 61. 1614-1616 (2003)
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[Publications] Sakai K, Kitagawa Y, Saiki M, Saiki S, Hirose G.: "Binding of the ELAV-like protein in murine autoimmune T-cells to the nonameric AU-rich element in the 3' untranslated region of CD154 mRNA."Mol Immunol.. 39. 879-883 (2003)
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[Publications] Shiratsuchi, A., Mori, T., Takahashi, Y., Sakai, K., Nakanishi, Y.: "A presumed human nuclear autoantigen that translocates to plasma membrane blebs during apoptosis."J.Biochem.. 133. 211-218 (2003)
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[Publications] Nagashima T, Mizutan Y, Kawahara H, Maguchi S, Terayama Y, Shinohara T, Orba Y, Chuma T, Mano Y, Itoh T, Sawa H, Sakai K, Motomura M, Nagashima K: "Anti-Hu paraneoplastic syndrome presenting with brain-stem cerebellar symptoms and Lambert-Eaon myasthenic syndrome."Neuropathology. 23. 230-236 (2003)
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[Publications] 四方裕夫, 酒井宏一郎, 上田善道, 土島秀次, 松原純一: "構成化された幻聴を呈し、聴覚連合野が責任病変と考えられた部分発作の1例"日本呼吸器外科学会雑誌. 33. 500-504 (2003)
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[Publications] 酒井宏一郎: "悪性腫瘍と大脳病変-傍腫瘍性辺縁系脳炎-"神経内科. 58. 473-479 (2003)
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[Publications] 庄司紘史, 浅岡京子, 山本寛子, 綾部光芳, 酒井宏一郎: "非ヘルペス系急性辺縁系脳炎"神経内科. 59. 9-13 (2003)