2004 Fiscal Year Annual Research Report
最終糖化産物に対する細胞応答性の糖尿病性血管合併症進展に及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
15590927
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川上 康 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (70234028)
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Keywords | 最終糖化産物 / 糖尿病 / TGFβ / bcl-xL |
Research Abstract |
糖尿病性血管合併症の発症進展因子の一つとして最終糖化産物が報告されている。本研究では、最終糖化産物として、実験的に作製したアルブミン由来の最終糖化産物を、複数のヒトより得た初代培養マクロファージに添加しTGFβ蛋白産生量を測定した結果、TGFβの産生増加は最大3.5倍の差を認めた。この結果から、たとえ組織に蓄積した最終糖化産物の量が同じであっても、産生されるサイトカインの量に個人差があり、血管障害に差が生じる可能性、高血糖が糖尿病性細小血管合併症・大血管合併症ともに進展因子であるものの、合併症の進行度には個人差が認められ、その原因の一つが最終糖化産物に対する細胞応答性の差である可能性が考えられた。TGFβ産生の個体差の機序を検討する目的で、最終糖化産物によるマクロファージ遺伝子発現プロファイルをDNAアレイを用いて検討した。結果、11種類のサイトカイン遺伝子のmRNA発現、2種類のアポトーシス関連遺伝子(bcl-xL等)の発現の増加を含めて、最終糖化産物の受容体の一つであるスカベンジャー受容体の遺伝子多型とTGFβ産生量が相関することが判明した。最終糖化産物による細胞のアポトーシスは糖尿病性網膜症において関連が示唆されており、関連遺伝子の発現の差が網膜症の進展の個体差と関連している可能性が考えられた。また、炎症性サイトカインの産生量産生の個体差は細小血管合併症のみならず、大血管合併症の発症進展にも関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)