2004 Fiscal Year Annual Research Report
肥満治療を目指した細胞内脂質分解機構に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
15590930
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大須賀 淳一 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師(病院) (10334400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 健 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (40376463)
矢作 直也 東京大学, 医学部附属病院, 医員
田村 嘉章 東京大学, 医学部附属病院, 医員
岡崎 啓明 東京大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | リパーゼ / 脂肪細胞 / 肥満 |
Research Abstract |
ホルモン感受性リパーゼHSL)は、脂肪細胞などの多様な臓器でトリグリセリド(TG)とコレステロールエステル(CE)の水解を行う上で重要な働きを担っている。肥満・糖尿病の病態における脂肪分解の役割を明らかにするために、HSL欠損マウス(HSL^<-/->)とレプチンを欠損した遺伝的肥満マウス(Lep^<ob/ob>)を交配してHSLとレプチンの両者を欠損するマウス(Lep^<ob/ob>/HSL^<-/->)を作成した。予想に反して、Lep^<ob/ob>/HSL^<-/->の摂餌量はLep^<ob/ob>/HSL^<+/+>に比べ少なく、体重増加と脂肪重量も少なかった。Lep^<ob/ob>/HSL^<-/->の白色脂肪組織には前駆脂肪細胞の集蔟が顕著であった。前駆脂肪細胞に特異的なADRPやC/EBPβの発現が増加し、成熟脂肪細胞に特徴的なC/EBPα、PRAR-γやSREBP-1の発現が低下しており、脂肪細胞への分化障害が示唆された。また、Lep^<ob/ob>/HSL^<-/->では摂餌量の減少に見合うように、視床下部の摂食因子であるNPYやAgRPの発現が減少していた。HSLは視床下部にも発現しているので、HSL欠損による遊離脂肪酸の生成低下が視床下部の接触因子の発現に直接影響を与えた可能性もある。本研究によりHSLは脂肪細胞の分化と摂食の調節にも関与していることが明らかとなり、HSLは肥満治療の標的分子になりうる可能性が示唆された。ただし、HSLとは異なるTGリパーゼの存在も明らかなので、脂肪分解機構に関わる諸分子の相互作用が今後注目される。
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Research Products
(5 results)