2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590933
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山田 一哉 福井大学, 医学部, 助教授 (20263238)
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Keywords | インスリン / 転写因子 / SHARP-2 / 糖尿病 / ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ |
Research Abstract |
肝臓において、細胞内グルコース濃度の上昇により転写活性が上昇する脂肪酸合成酵素遺伝子のプロモーター上にはグルコース応答性エレメントが同定されている。このエレメントに結合する因子として、私どもはbasic helix-loop-helix型転写因子であるenhancer of spilt- and hairy-related protein-2(SHARP-2)をクローニングした。ラット肝でSHARP-2 mRNAの発現が絶食や糖尿病により低下すること、高炭水化物食負荷やインスリン投与により増加すること、ならびに、初代培養肝細胞でのインスリンによるSHARP-2 mRNAの誘導には、phosphoinositide 3-kinase(PI 3-K)pathwayが関与していることを見いだした。また、nuclear run-on assayを用いて、インスリンによるSHARP-2 mRNAの誘導がSHARP-2遺伝子の転写速度の増大に起因していることも明らかにした。したがって、インスリンはPI 3-K pathwayを介してSHARP-2遺伝子の転写を促進すると結論した。インスリンの他の標的組織である脂肪細胞や筋肉でのSHARP-2 mRNAの発現調節にりいても検討を行い、3T3-L1脂肪細胞やL6筋管細胞でもインスリン処理によりSHAP-2 mRNA量が増加すること、サイクリックAMP処理により、そのmRNA量がさらに増加するという結果を得た。SHARP-2はインスリン誘導性転写抑制因子であるため、次に、インスリンにより発現が抑制される糖新生系酵素ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)遺伝子の発現との関係について検討した。高分化型肝癌細胞であるH4IIE細胞や初代培養肝細胞に、SHARP-2 mRNAを過剰発現するアデノウイルスベクターを感染させたところ、PEPCK mRNA量の減少を認めた。また、SHARP-2発現ベクターとPEPCK遺伝子のプロモーター領域を含むリポーターベクターをMH1C1細胞にコトランスフェクションしたところ、PEPCK遺伝子プロモーター活性が低下することを見いだした。これらの結果から、SHARP-2はインスリン作用に関与する重要な転写因子であると結論した。 さらに、生殖系の組織において、SHARP-2遺伝子の発現がゴナドトロピンにより誘導されること、ならびに、ラットSHARP-2ゲノム遺伝子のクローニングと転写制御領域の解析についても報告した。
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Research Products
(4 results)