2004 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウム・リン代謝からみた動脈硬化および血管石灰化の発症機序の解明
Project/Area Number |
15590954
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
城野 修一 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60336790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩井 淳 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90260801)
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Keywords | 血管石灰化 / 動脈硬化 / osteoprotegerin / Matrix Gla protein / 骨関連蛋白 / TRAIL |
Research Abstract |
本研究において、カルシウム・リンの代謝障害が直接血管石灰化に影響を与えているのではないかという仮説のもとに、ヒト血管平滑筋細胞を用いてin vitroで石灰化を誘導する実験系を作成した。この実験系を用いて、血管石灰化過程においてOsteoprotegerin(OPG)、Matrix Gla protein(MGP)およびOsteopontin(OPN)などの骨関連蛋白の遺伝子発現および蛋白発現・分泌を検討した。血管石灰化の進行とともにOPGの発現は増加し、MGP、OPNの発現は減少した。このことより血管石灰化の進展には骨関連蛋白の発現パターンの変化が重要な因子であることが明らかになった。次にこの現象が臨床的な病態を反映しているかを明らかにするために、冠動脈石灰化の程度と骨関連蛋白の血中レベルとの関係を検討した。冠動脈石灰化量の多い群において血中OPGレベルは高く、MGPレベルは低下しており基礎的検討とほぼ同様の結果を得たことより、これらの因子は石灰化の病態を反映する鋭敏なマーカーである可能性が示唆された。以上に加えてOPGに関与するファクターとして血中TNF related apoptosis inducing ligand(TRAIL)の測定も行い、冠動脈疾患および石灰化の重症度と逆相関することも明らかにした。さらにOPGには遺伝子多型があることが報告されており、遺伝子多型と血中レベルおよび疾患との関係を検討した。OPGは関しては冠動脈疾患や糖尿病を有する患者において血中レベルが上昇しており、OPG遺伝子多型の一つが血中濃度および糖尿病の発症と強い関係があることが明らかになった。 以上のことから、動脈硬化および血管石灰化の進展には従来からの冠危険因子に加え、カルシウム・リン代謝異常も強く関係していることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)