2003 Fiscal Year Annual Research Report
自家単核球細胞移植を用いた糖尿病性末梢神経障害および足部潰瘍への治療
Project/Area Number |
15590961
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
小崎 篤志 関西医科大学, 医学部, 講師 (40330188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 隆正 関西医科大学, 医学部, 助手 (90351535)
松原 弘明 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (10239072)
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Keywords | 糖尿病 / 末梢神経障害 / 細胞移植 |
Research Abstract |
【目的】糖尿病神経障害の発生機序として高血糖による種々の代謝異常と微小血管の障害による虚血や低酸素が提唱されている。我々は、糖尿病モデルラットの下肢末梢神経障害への末梢血単核球細胞(PBMNC)移植による血管新生療法の有効性を検討した。 【方法】ストレプトゾトシン(STZ)糖尿病ラット作製後4週間目にPBMNCを左下肢に移植した。移植前後に末梢神経伝達速度(NCV)、移植後に神経血流量(NBF)、神経内血管数を定量した。 【結果】移植前、STZ群は正常Control群に比しNCVの有意な低下を認めた(p<0.01)。正常Control群・STZ群では移植前、2週間、4週間後のNCVに有意な差は認められなかったが、STZ+PBMNC群の移植肢(左下肢)においてNCVは移植2週間後に有意な改善を認め、4週間後もなお持続していた(移植前:39.5±0.60、2週間後:43.0±1.81、4週間後:44.2±1.04m/s、p<0.01)。しかし非移植肢(右下肢)ではNCVの有意な改善は認めなかった。また移植4週間後に測定したNBFはSTZ群で正常Control群に比し有意に低下を示し(P<0.05)、STZ+PBMNC群の移植肢(左下肢)では有意な改善が認められた(p<0.05)が、非移植肢(右下肢)では改善は認められなかった。しかし、STZ+PBMNC群において移植肢の神経内血管数には非移植肢に比し有意な増加は認められなかった。 【結語】糖尿病性末梢神経障害における神経内虚血が、PBMNC移植により神経内毛細血管の新生とは異なる機序により改善したと考えられた。以上より、末梢血単核球細胞移植は糖尿病性末梢神経障害への新しい治療法となる可能性が示唆された。
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